福島第一原発の処理水排出はどうするべき? 8割を占めた圧倒的多数の答えは…
韓国視察団も帰国し、年内にもタンクが満杯となるため始まるとされるALPS処理水の海洋放出。世間の印象は…。
東日本大震災の際に津波の被害に遭い、国内初の炉心溶融が起きた東京電力の福島第一原子力発電所。Sirabee編集部も昨年6月、水素爆発を起こした原子炉建屋から100mの距離まで近づいて現地を取材している。
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■年内にも海洋放出開始
その際も原発構内に目立ったのは、おびただしい数の処理水タンク。汚染水から、ALPS(多核種除去設備)でトリチウム以外の放射性物質を除去した処理水が蓄えられている。
タンクは増築を繰り返しているが、構内にも限りがあり、取材した当時から限界が近づいているとのことだった。
ついに、今年秋から夏にも満杯となることが予想されており、年内にも処理水に含まれるトリチウムが国の基準を大きく下回るように希釈した上で、沖合に海洋放出が行なわれる予定だ。
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■韓国視察団も福島に
22日から26日にかけて、現在も福島県産海産物の輸入を規制している韓国の視察団が福島第一原発を訪問。ALPS処理水などについて東電の担当者から説明を受け、帰国した。
放射性物質のほとんどは除去されており、さらに希釈もされた上での放出とはいえ、国内にも拒否感や疑問を覚える人も少なくないかもしれない。一方で、陸上のタンクにこれ以上蓄え続けることは現実的ではない。
世間は実際、どのように受け止めているのだろうか。
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■「排出すべきでない」は2割
Sirabee編集部が、5月25〜26日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に処理水の排出について調査したところ、「排出すべきでない」と答えた人は22.7%。全体の2割にとどまった。
54.8%と最も多かったのは、貯蔵タンクのキャパシティなどの問題から「仕方ない」という回答。また、国の基準値を下回っているため、「排出を積極的に行うべき」と答えた人も22.5%に及んだ。
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■女性のほうが慎重
なお、男女でも考え方が異なるようで、「排出すべきでない」という回答は女性のほうが5ポイントほど多い一方で、排出を積極的に行うべきと考える人は男性のほうが20ポイント近く多い32.4%に及んでいる。
また、地域別でも「排出すべきでない」という人は北海道・東北で20.6%。最も多い北関東でも25.8%にとどまっている。韓国など周辺諸国の理解がどこまで進むかは未知数だが、少なくとも国内においては一定の理解を得ていると考えてよさそうだ。
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■執筆者紹介
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)