中国依存軽減を検討する日本企業 グローバルサウスのアフリカはどうか
年々高まり続けた日本企業の中国依存。しかし、依存の危険性が明るみになり、一部の企業がグローバルサウスへ。アフリカその代替国となるか。
中国では外国企業への圧力がこれまで以上に高まっている。
■中国からの依存脱却を試みる動き
上海に拠点を置く米国コンサルティング企業ベインに対しては最近、中国当局の家宅捜索が入り、従業人は拘束されなかったものの、データや書類などが無断で押収された。
また、中国でビジネスを展開する英国企業が会員となる在中英国商工会議所は、現地の英国企業はこれまでになく中国ビジネスを悲観的に捉えるようになったとする報告書を公開した。
これは、日本企業の間にも拡大している。今日の世界情勢から言えば、中国にとって日本は米国の“ポチ”であり、中国はそれに苛立っており、いつ日本に圧力を掛けてくるか分からない状況だ。そうなれば、現地にある日本企業は真っ先に餌食となる。
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■アフリカは中国の有力な代替国となるか
現在、“中国は今後危ないから他の国に移動しよう”と考える企業は少なくないが、ではその代替国はすぐに見つかるのだろうか。1つに、今後アフリカは人口増加にともに経済成長をすることが予測されており、日本企業の間でも関心が強まっている。
しかし、たとえばアフリカのリーダー的存在である南アフリカの状況を見ると、安心してビジネを展開できる状況にはない。
たとえば、南アフリカ政府公表の情報によると、昨年10月から12月にかけて、1日平均で殺人が80件あまり、殺人未遂が75件あまり、性犯罪が170件あまり、誘拐が45件あまりとなっており、日本や中国の比ではないほど治安が悪い。
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■主要都市で発生する犯罪
また、昨年7月から9月に発生した誘拐事件は警察が把握しているだけでも4,000件を超え、前年から倍増したとされるが、実際警察が把握していないケースもあり、実際の件数はもっと多い。
こういった犯罪は当然ながら、ケープタウンやダーバン、プレトリア、そして最大都市ヨハネスブルグなど主要都市で多く発生しており、現地日本大使館へは毎日のように被害が報告されているという。
アフリカと言っても国によって事情は異なるが、中国からアフリカを検討する企業があったとしても、それはそれで中国とは異なるリスクが存在する。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)