電気代ヤバすぎ… 節電型エアコンに魅かれる人が絶対確認すべき「3つの条件」
【鈴木貴博『得する経済学』】まもなく本州でも梅雨明けし「エアコン」フル稼働の夏がやってくるが、機器買い替え時に押さえておくべきポイントがある。
「まだギリでいけるかも。エアコン設置工事は最短3日後から対応してくれるみたい」
調子の悪いエアコンを買い替えるかどうか家電量販店で相談した際、もろもろの前提条件を確認したところ今回については「今、買え!」という決断になりました。ただこの判断、ケースバイケースで結論が違ってくるのです。
今週はそんな「エアコン買い替え」の話。買い替えたほうが得になるのかどうか、経済の視点で確認してみましょう。
■頼みの綱だった補助金が…
いよいよこの夏から段階的に電気代の政府補助金が減っていきます。このままだと10月には補助金が完全になくなるので、夏から秋にかけて、皆さんも電気料金の請求を見てびっくりすることになるかもしれません。
それで古いエアコンを買い替えたらエコでかつお得になるんじゃないか? と考えた方へのアドバイスです。この問題ですが、エアコンを買い替えた方がいいかどうか、3つチェックポイントがあるのです。ご存知の方も多いかもとは思いますが、ここでおさらいしてみましょう。
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■エアコン買い替えの3つの条件とは?
そのチェックポイントとは、
①そもそも買い替えたら節電性能が上がるのかどうか?
②エアコンの価格が高すぎはしないか?
③エアコンの設置工事が間に合うかどうか?
の3点です。それぞれ解説してみましょう。
「古いエアコンや冷蔵庫は最新式に買い替えたほうが節電性能が格段に違うよ」というアドバイスを耳にしたことがある人が多いと思います。実はここに落とし穴がひとつ空いています。
昔は「10年前のエアコンよりも最新式の方が節電性能が高い」というのは事実だったのですが、省エネルギー型のエアコンの技術開発は2013年頃にピークを迎えていて、実はそれ以降、節電性能はそれほど上がっていないのです。
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■エアコン買い替え=「節電」は間違いかも?
今、10年前のエアコンといえば2013年製ですから、実は最新のエアコンと節電性能はカタログスペック上は大差がない。ただ経年劣化で古いエアコンは性能が落ちますから徐々に電気代がかかるようにはなっているかもしれません。でも違いは5%ぐらいかも。
つまり検討すべきは「うちのエアコンはいつ製造した商品か?」ということと「その性能に満足しているかどうか?」です。たとえ2013年製でも「最近、どうも部屋が冷えないんだよな」ということであれば買い替えてもいいかもしれませんが、大きくすることで逆に電気代が増えると思います。家にあるのが新しいエアコンで性能にも満足しているのであれば、節約目的での買い替えは必要ないかもしれませんよ。
それでも買い替えようと思った人は②に進みましょう。というのも夏場はエアコンを買いたい人が多いので価格が高くなっているかもしれません。
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■夏になると高騰するエアコン価格
家電の値段比較、レビューサイト「価格.com」で調べてみるとわかりますが、価格.comで一番人気のエアコンの場合、4月の平均価格は38,000円近辺でしたが、6月は同じ商品の平均価格が44,000円近辺まで値上がりしています。
エアコンの電気代は一か月5,000円ほど。よほど節電性能が高くなければ6,000円高いエアコンだとひと夏の電気代節約では元がとれないかもしれません。買い替えは価格が下がる秋まで待ったほうが賢明でしょう。
それでも6,000円高くても新しいエアコンが今欲しいと思った人は③に進んでください。ヨドバシカメラなど家電量販店のサイトに行くと、今、エアコンを買ったら工事が最短でいつになるか表示があるはずです。7月上旬はまだ余裕があるのですが、例年、猛暑日が到来するとこの状況が一変します。
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■買い替えなくてもエコな方法が別にある
たとえば今買ってもエアコン設置は20日後なんてことになると、高いエアコンを買ったうえに、お盆が過ぎたころにようやく工事が来てくれるなんてことにもなりかねませんよね。
さて、①から③まで考えたうえで「今年の夏は今のエアコンで我慢しよう」と決めた人も実はもうひとつ節電については工夫できることがあります。それがサーキュレーターと扇風機を買うことです。
エアコンで冷えた空気は部屋の一部分の下の方に沈んでいたりするものです。それでサーキュレーターを購入してリビングの空気をかき混ぜると部屋全体の涼しさが変わります。実はサーキュレーターや扇風機はどちらもエアコンの10分の1程度の電気代しかかかりません。電気代が高いのならエアコンをこまめに切って空気を循環させるほうが、節約型のエアコンに買い替えるよりも効率的です。
電気代が安いことに目をつければ、サーキュレーターとは別に自分専用の扇風機を買うという手もあります。扇風機の風が常に自分にだけ向かってくるという贅沢な使い方。これは涼しいですよ。ないしは人気のサーキュレーターと扇風機兼用の商品を買ってみたらどうでしょうか。とにかくこの夏は賢く涼しく節電するのがよさそうです。
■著者プロフィール
Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「エアコンの買い替えタイミング」についてお届けしました。
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(文/鈴木貴博)