埼玉“子供の留守番は虐待”条例、『クレヨンしんちゃん』も「虐待認定」の恐れ 保護者から怒りの声
物議を醸した埼玉の虐待禁止条例案が撤回された。『クレヨンしんちゃん』も「条例違反」になっていた可能性が…。
「子供を留守番させることも虐待にあたる」──。10日、物議を醸した埼玉県虐待禁止条例の改正案が取り下げられた。撤回後も、ネット上では厳しい声があがっている。
今回の条例が可決されていたら、あの「人気キャラクター」も違反になっていた可能性があって…。
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■「子供の留守番は虐待」埼玉の条例
埼玉県議団は、昨年から全国で相次ぐ子供の置き去り死亡事案を受けて、条例改正を検討。今年10月6日に県議会に提出された改正案の内容は、保護者が小学3年生以下の子供に対して、「短時間でも子供に留守番させる」「子供同士公園で遊ばせる」「子供にお使いを頼む」などの行為をした場合、虐待と認定するというものだった。
改正案は13日の本会議で成立する見込みだったが、県内外で抗議の声が殺到した結果、10日に取り下げが決まったのだ。
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■「神経を疑う」保護者から怒りの声
「子供の留守番は虐待」条例は幻になったが、小学3年生以下の子供2人を育てる40代男性は今回の条例が可決寸前まで進んでいたことに怒りをにじませる。
「私は共働きなので、子供に留守番させることもあります。お金の使い方や買い物の仕方を教える一貫で、お使いに行かせたこともありました。これもすべて条例違反になるんですよね? 虐待禁止の仕組みを整えることに異論はありませんが、今回の条例は共働き家庭のことをまったく分かっていません。神経を疑いますよ」(40代男性)。
この男性同様、「ほとんどの保護者が条例違反になる」と抗議する声が多かったようだ。
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■あの人気アニメを心配する声
ネット上では、条例取り下げが決まった後も、埼玉県議団に対する厳しい声があがっている。「虐待をなくし、子供の放置事案を減らそうという考えは間違ってないけど、もっとしっかり考えてほしい」「よくもこんなふざけた条例案を通せると思ったな」「実際に子育てしている親の意見を聞くべき」など、怒りの声が続出。
そんな中、「春日部市にいる“しんちゃん”たちのとこ完全にアウトじゃん」「そのまま施行されてたら埼玉でクレしん放送禁止になってたのか」「かすかべ防衛隊も解散になってたかも」といった、人気アニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)を心配する声も見受けられる。
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■野原家も「条例違反」に…?
『クレヨンしんちゃん』は、埼玉県春日部市が舞台。主人公の「しんちゃん」こと野原しんのすけは5歳で、劇中では父・ひろしと母・みさえが外出し、一人で留守番するシーンが多数見受けられる。
また、同じ幼稚園に通う「風間くん」こと風間トオルや「ネネちゃん」こと桜田ネネらと共に、「かすかべ防衛隊」を結成し、子供達だけで行動する話もある。今回の条例が施行されていた場合、ひろしやみさえ、その他の子供達の保護者も条例違反、つまり「虐待認定」される恐れがあったということだ。
“嵐を呼ぶ”条例が取り消しになり、野原家も胸を撫で下ろしているかもしれない…。
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■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)