『紅白』司会の橋本環奈はフジ昼帯MCにも合う理由 アイドル女優の時代
『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)や橋本環奈MCの考察から、昨今激動の芸能界の展望までを徳性や創造性に注目しつつ考察。
昨年の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)を振り返りつつ、「紅白」でも司会を務めた橋本環奈を中心に現在・今後の芸能界や日本社会を考察する。
■「紅白」のポテンシャル
昨年の「紅白」は、予測も可能だったように、同番組まで日本で生放送での歌唱を披露することを避けたYOASOBIの『アイドル』を中心に、様々なパフォーマンスがなされ、大方好評だったように思われる。
ただし、平均世帯視聴率は31.9%(第2部)と落ち込み、史上最低となった。1つの大きな要因に、スマイルアップ(旧:ジャニーズ事務所)のタレントが出場しなかったことが挙げられる。
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■橋本環奈・浜辺美波の安定感
女優としての同番組の司会者に、浜辺美波と昨年に引き続いての橋本環奈が抜擢された。浜辺はおっとりしていたり、 天然的なところやいわゆる「ポンコツ」的なところもあるのが魅力なので、綾瀬はるかのような面白い司会が期待されるも、実際は見事に司会を成し遂げる。
司会の有吉弘行と浜辺を引っ張ったのが、有吉も当初から自身より司会を上手いとしていた橋本だ。
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■芸能界の意味構造の転換
番組を何本も持つ有吉よりも堂々たる司会ぶりを、アイドル女優である橋本ができることは、番組MCを芸人でなくアイドルや女優が行う時代の展望を開くものだろう。
昨今はダウンタウン松本人志にも重大な疑惑が出ており、吉本興業は事実を否定するなど、吉本も揺れ動いている。
昨年は、スマイルアップ(旧:ジャニーズ事務所)が新たに発足し、稲垣吾郎・ 草彅剛・ 香取慎吾の『新しい地図』のメンバーも復活の兆し。芸能界の意味の構造も変わりつつある。
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■スターたる所以
昨今は週刊誌やSNSによって、芸能人にも強く徳が求められるようになってきており、面白さだけでどうにかなる時代ではなくなってきているだろう。
いやそもそもお笑い界も、北野武・ タモリ・明石家さんまのビッグ3が人としての尊敬を集め、 大きくなっていった。「スターたる所以がますます求められる時代になってきている」と言い換えることができる。
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■バラエティMCとは
スターであることや面白さの意味が問われているのは、ここ10年程度の傾向であるとも言えるだろう。芸人が増えすぎたからとも言えるが、マツコ・デラックスや林修、坂上忍と、芸人ではないバラエティMCが久々に登場してきたのも、ここ10年程度の傾向である。
そもそも「バラエティ」と言うからには、「雑多」な番組やMCがあって当然だ。
■活動の創造性
マツコは昨今、常々引退を示唆しているし、坂上も『バイキングMORE』(フジテレビ系)を終わらせ、動物保護活動にシフトし、彼らは仕事の仕方についても問いながら行っていると思われる。
北野武が映画監督にシフトチェンジしたのも当然とも言え、お笑い芸人の仕事の仕方も、創造的になるように考えていく必要があるだろう。
一方でお笑い界も、YouTubeを駆使し、各々ピンでも活躍している霜降り明星や、落ち着いたトークが展開できるヒコロヒーら若手「女芸人」や、今後の展開も未知数な最新の「M-1」王者・令和ロマンら新たな世代も台頭している。
■橋本環奈のMCの道
スターの徳性や番組の多様性が求められる時代に、番組MCは芸人が最適である自明性は最早ない。芸人以外も番組MCを務められることがまた望ましい方向性であるにも違いなく、「紅白」などで女優が司会を務め続けている昨今、橋本のMC需要は大きく、また橋本にとっても大きいものと思われる。
現在、『ぽかぽか』(フジテレビ系)を放送中のフジの昼帯MCに橋本を起用するような大抜擢が、今後の芸能界に望まれるだろう。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)