【法律コラム】「コマネチ!」で200万円?「肖像権」が問題になるケースとは
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先日、ビートたけしさんが、体操の金メダリスト、ナディア・コマネチさんにお金を支払っていたということがニュースになっていましたね。
本人の承諾なしに有名な一発ギャグ「コマネチ」を世に送り出していたことが、ナディア・コマネチさんに知られたため、肖像権使用料として200万円を支払っていたそうです。
「200万円」という額が適切だったのか、そちらも気になりますが、「何かしらお金を支払わなきゃいけないのは分かるけど、あのvの字のジェスチャーが『肖像』なの?」「肖像権って何?」と思った方もいるのでは?
筆者自身も一瞬、考えました(苦笑)。
実は、「肖像権」という権利は、芸能人やスポーツ選手に限らず、私たち全員に関係する重要な権利なのです。というわけで、今回は、肖像権について解説していきます。
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■そもそも「肖像権」って?
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肖像権は、勝手に自分の姿を「撮られたり」「利用されたり」しない権利であり、プライバシー権や財産権の一種として認められると考えられています。
肖像権は、法律に明文化されていませんが、民法などの一般原則によって守られています。
例えば、勝手に写真を撮影されたときに、その写真を使った本を出版しないよう差し止めを求めることや、実際に出版されてしまった場合に損害賠償を求めることもできます。
また、直接肖像権の侵害を罰しているわけではありませんが、各地方自治体の迷惑防止条例では「盗撮」を禁止しています。
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■ビートたけしさんの場合、勝手に撮影した訳ではありません
しかし、あのギャグはレオタードを暗示させるジェスチャーと本人の名前が組み合わさっていますから、見ている人にナディア・コマネチさんの姿を連想させますよね。
それを持ちネタという芸人にとっての商売道具として利用したわけですから、それを「肖像権」というかはともかく、「姿を利用されない権利」などの権利を侵害していると判断される可能性はあったかと考えられます。
変にごねずに、お金を支払ったビートたけしさんはスマートだったと思われます。
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■路上は見られても仕方ない?
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一方、路上での姿は、肖像権の保護が及びにくいといえます。
路上はいつ誰に見られても不思議のない場所なので、見られる方も見られていいようにしているだろうという理屈があります。監視カメラが一般的に認められている理由のひとつです。
この理由は一理あります。とはいえ、限度が過ぎれば法律上問題となります。
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裁判例の中には、携帯電話のカメラでズボンをはいた女性のお尻のところを撮った男が、迷惑防止条例違反で刑事罰になったというものがあります。
男は「スカートの中みたいな隠れたところじゃないから、セーフだ」という趣旨の主張をしたようですが、この男、女性につきまとった挙句1~3メートルの至近距離から11枚撮りまくったようで、悪質と判断され罰金刑となりました。
たとえ路上の姿でも、お尻をじろじろ見られたくなんかないという女性側の気持ちが尊重された形です。
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■終わりに
自分の姿は大切なものです。別段ナルシストではない人も、朝起きて洗面台の前に立てば、鏡に映る自分をチェックするのではないでしょうか。ちなみに、筆者は、一日に何回かは、身だしなみをチェックします(笑)。
そんな大切な自分の姿と同じくらい、周りの人の姿も大切にしてくださいね。
(文/弁護士・佐藤大和)