就活学生「マスコミかっこいい!」→「は?」新卒2年目ADが語る黒いマスコミあるある
大学生に「私もマスコミに行きたいんです!」と言われると、心のなかで「は? あんた何言ってんの?」と思ったことは数えきれません。
そう語るのは、都内の有名私立大学を卒業後、新卒採用で大手キー局で働いて2年目のMさん(女性・24才)。
いま、バラエティ番組でADを担当している彼女は「マスコミに就職したい」と安易に口にする大学生たちに警鐘を鳴らします。
画像をもっと見るテレビ業界の場合、アナウンサーのイメージをそのままマスコミのイメージに当てはめたような人が少なくありません。あの人たちは別の会社で別の仕事をしている、と思ったほうが自然ですよ
■「黒いテレビ局あるある」とは
彼女は、マスコミを志す後輩たちに対し、「現実をしっかり見るべきだ」と言います。
テレビ局の仕事をより具体的にイメージしてもらうため、Mさんの話をもとにした「黒いテレビ局あるある」をご紹介します。
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■テレビ局あるある1:テレビ現場用語を女子の前でついつい口に出してしまう
ごはんやセロテープなど、使ったらなくなるものを「消えもの」と呼ぶのですが、それを日常生活でも使ってしまうようになりました。
友だちとBBQしたときに「消えものは私が全部もってくよ!」と言ったときに「は?」と言われて、この業界にドップリ浸かってしまっている自分を実感しました。
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■テレビ局あるある2:出演者とADでは性別が違うことを痛感する
農村や海岸のロケでは、トイレがないことは珍しくありません。そんなとき、私のようなADは大自然がそのままトイレになります。男性スタッフと同じ場所で用をたすんです。現場の食事をつくるのも私。
一方、出演者のグラビアアイドルさんは扱いがまったく違う。とにかく機嫌をよくしてもらって撮影できるようにスタッフ全員が気を遣う。現場では、男性、スタッフ女性(という名の男性)、女性出演者の3種類の性別が存在することに気づきました。
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■テレビ局あるある3:番組のオチが予めわかってしまう
もともと、テレビが好きで入ったのですが、当然ながら携わる番組のオチはすべてわかってしまいます。
大好きな刑事ドラマや教師ものドラマのオチもわかってしまうと、見るのは海外ドラマや映画になっていきます。事実、テレビの仕事に携わっている人は、仕事で携わるテレビではなく、小説や映画を好む人が多いです。
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■テレビ局あるある4:作り手側の仕事量を考えてイベントやテレビを楽しめない
休日はなかなかとれません。ゆっくりできる休日に映画を見たり、街に出てイベント会場に足を運ぶこともあるのですが、現場スタッフのことを考えたり、予算を想像したりすると素直に楽しめなくなりました。
「これから現場のバラシ作業が待ってるんだろうな…」とか、「この映像、天候にこだわってるな…」とか。現場のバタバタを知っているからこその感覚です。
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このように、業界の内側に入るということは、それまで見れなかった世界を見る分、その前の状態には決して戻れないことを意味します。
撮影によっては1週間家に帰れないことも珍しくないというテレビ局の仕事。最後に、Mさんにこんなことを聞いてみました。
-やはり、いまの仕事を辞めたいと思いますか?
辞めたいと思ったことは一度もありません。自分が将来番組をつくるためにすべて必要な仕事だと思っていますので。
現場の「プロ意識」がこうした苛酷さを生み出していることは否定できません。とはいえ、その必死さをどこかで愛おしく感じてしまっているのも事実です。学生のみなさんには、正しく現実を知ってこの業界に飛び込んできてほしいですね。
(文/しらべぇ編集部)
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