会話のとき、句読点を意識していますか?【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
言葉足らずの女の子に、「この説明でわかってくれたの黒田くんが初めて!」と、よく言われる俳優/ハイパーメディアフリーターの黒田勇樹です。こんにちは。
いつも「わかってもらえないであろう説明を、なぜもう一度俺でチャレンジした」と、心の中でツッコんでいます。
このコラムでは、子供のころから芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
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■かわいい娘さんか、かわいいヤクザか
©iStock/Mallivan
俳優業をしていると、もちろん台本には句読点が打ってあるので、それを意識してしゃべり、相手のセリフを受け取っているので、筆者は日常会話でもかなりそれを意識してしゃべっているのですが、先日このようなことがありました。
「すっごいかわいいヤクザの娘さんなんだけど」
女性とお酒を飲んでいる時に、友達の話として出てきたこの言葉。
「すっごいかわいい、ヤクザの娘さん」?
「すっごいかわいいヤクザの、娘さん」?
読者のみなさまはどちらの意味で受け取られましたか?
常識的に考えれば、前者。「ヤクザなご職業の家庭に生まれた、かわいい娘さんのお話」だと思うのですが、後者の「すっごいかわいいヤクザなご職業の方がいて、その娘さんの話」だという可能性はまったくないのでしょうか?
この場合、お父さんがかわいいだけで、娘さんはまったくかわいくない可能性も出てきます。
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もしも、句読点なしが正解だった場合、「娘さん」の解釈すら変わってきます。
「すっごいかわいいヤクザの娘さん」ということは、すっごいかわいくて、職業はヤクザな娘さん、が存在することになります。
先ほどまでは登場人物が2人だったので「○○の娘」、つまり家族関係としての「娘」という解釈でした。しかし、句読点なしにした場合、誰かの娘ということではなく、世間一般で言う「若いお嬢さん」を指す「娘」になります。
もうなんか、漫画のヒロインだよね、そうなると!
このように句読点を意識せずに話すと、さまざまな誤解が生まれることになります。
会話の最中に、句読点を意識し、ちょっとした間を挟むだけで、より相手に内容が伝わりやすい話ができる。そんな考察でした。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)