芸歴40年!なぜウルトラ怪獣は半世紀を経た今も愛されるのか【出口博之のロック特撮】

2015/10/05 19:00


こんにちは、白ポロ+眼鏡でおなじみのMONOBRIGHT、ベースの出口です。 皆さんは、日本全国の商店街や観光地を散策するお散歩バラエティ「ウルトラ怪獣散歩」という番組はご存知でしょうか?

ウルトラ怪獣が軽快なトークを交わしながら食レポや散策をしている姿は、シュールでありながらも見続けてしまう中毒性があります。

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主に散歩をしているウルトラ怪獣は、ウルトラマン(1966年)やウルトラセブン(1967年)に登場した往年の怪獣たち。

ウルトラ怪獣散歩に限らず、近年のウルトラシリーズには過去に登場した怪獣が再登場するケースが多く見られ、子供たちの間でも人気者になっているのです。

平成以降のウルトラ怪獣にも人気怪獣は存在しますが、なぜ昭和のウルトラ怪獣が半世紀を経た今でも愛されるのでしょうか。今回はその人気の秘密を探ってみます。


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■ウルトラ怪獣をタイプ別に分けて考える

ウルトラ怪獣といっても様々なタイプが存在するので、大まかに「生物タイプ」「宇宙人タイプ」「メカタイプ」の3つに分類してみましょう。

ウルトラ怪獣散歩に登場する怪獣のタイプは「宇宙人タイプ」がほとんどです。ちなみに、現在放送中の「ウルトラマンX」でも、いまのところ宇宙人タイプの登場回数が多いです

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■ウルトラ怪獣散歩から探る、対話の重要性

なぜ生物タイプやメカタイプの怪獣ではなく、宇宙人タイプがウルトラ怪獣散歩などバラエティ色の強い派生作品に難なく登場できるのでしょうか。 その理由は「知能があり、人間と対話ができる」という点にあります。

例外はありますが、ほとんどの生物タイプ、メカタイプは人間と対話ができません。そもそも宇宙人タイプが地球に来た大きな理由は、「地球を侵略するため」です。

数ある惑星の中から地球に目標を定め、ありとあらゆる知略で地球を我が手に収めようとします。これは高度な知能がなければできません。

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会話が成立するということは、作品の作風(コメディからシリアス)にとらわれず幅広いキャラクターを演じ分けることが可能になります。

初登場時は人類側から見ると敵でしかなかった宇宙人タイプは、対話できるというアイデンティティによって、今日に至るまで様々な作品に登場し、長きに渡り人気を獲得したのです。


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■声なき声を感じ取れる、表情豊かな人気怪獣

往年の宇宙人タイプが人気を獲得する理由は判明しましたが、生物タイプ、メカタイプの人気の理由はなんでしょうか。まず、生物タイプの魅力は「目」にあります。

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人気怪獣のゴモラを例にしますが、宇宙人タイプに比べて、瞳の処理が地球上の生き物の法則から逸脱していません。我々と同じ瞳があるということは、「表情から感情を読み解くことができる」ということです。

往年の生物タイプの人気怪獣の表情からは、根源的な感情や言葉が感じられます。メカタイプは、見た目が機械そのものの怪獣よりも、顔の概念を感じさせる怪獣が人気を集めています。

例えば、ウルトラセブンに登場したキングジョーは、怪力によりセブンを苦しめる強敵ですが、顔を構成するパーツの配置によりなんとも不思議な愛嬌があります。

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表情が各怪獣の個性を際立たせて覚えやすくさせる効果を生み出し、そこに愛着が湧き長く愛され続けるのです。

以上のことから、昭和ウルトラ怪獣は「対話や表情から感情を読み取ることができ、ひと目で覚えられる個性があること」が、今も愛され続ける秘密なのではないか。

来年で50周年を迎えるウルトラシリーズは、膨大な数の怪獣を生み出してきました。その数だけドラマがあり、それぞれに個性があります。

今はまだ知名度が低くてパッとしない怪獣でも、これから再評価されて人気怪獣の仲間入りを果たすものがいるかもしれません。

(文/MONOBRIGHT・出口博之

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