「下町っぽい」「下町のような雰囲気」って言うけど、本当の意味わかってますか?
「下町育ち」「下町生まれ」といった言葉をしばしば耳にするが、その厳密な定義を答えられる人はそう多くないのではないだろうか。
江戸時代、高台に位置する山の手地域に対して、低地の部分を指していたのが下町だ。地形的な特徴によって定義されるこのエリアだが、いまや街が醸し出す雰囲気を「下町」と呼ぶ人も少なくない。
◆本来の意味とは遊離する「下町」
たとえば、大井町や蒲田、神楽坂といったエリア。これらの地域は本来の下町エリア(神田、浅草、深川など)には該当しないが、しばしば「下町っぽい」「下町の雰囲気がある」と言われる。
地形的な特徴とは関係なく、古い町並みが残り、どこか人情味が溢れる雰囲気を醸し出している場合に「下町っぽい」と呼ばれるのだ。
そうした背景もあり、育った街と自分の性格を紐付ける人も少なくない。「下町で育ったため人一倍情に厚い」「下町生まれなので、一人暮らしする場合、古い町並みがあるところが落ち着く」といった言葉を聞いたことはないだろうか。
関連記事:浅草が終われば浅草が始まる…サンバダンサーの知られざる世界と努力とは?
◆下町育ちをセルフブランディングに使う人たち
本サイトが実施したアンケート調査によると、5.7%の人が下町育ちをセルフブランディングに利用してる人を見たことがあると答えている。
「セルフブランディング」とは、自分の印象を自分で意識的に構成し、顕示すること。そんな中、「下町育ち」は自分の見た目と性格のギャップを示すためのわかりやすいツールにもなっている。
たとえば、見た目が派手で近寄りがたい雰囲気の人が「下町育ち」と言うことで、どこか人懐っこい一面を持っていることをアピールすることができる。また、一線で活躍するビジネスマンが、下町育ちであることを顧客に告げることによって、相手との距離を近づけられるかもしれない。
今や下町は、その地形的な定義で使われることよりも、拡大解釈された雰囲気を指す言葉として流通していると言えるかもしれない。
(文/しらべぇ編集部)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年9月25日~2015年9月28日
対象:全国20代~60代男女1400名