職人たちが作る「ウルトラマンX」撮影現場に潜入【出口博之のロック特撮】
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。
先日、現在放送中の『ウルトラマンX』に山瀬アスナ役で出演されている坂ノ上茜さんに、役柄や演技についてお話を伺った際、作品中に出てくるウルトラマンXの防衛チーム「Xio(ジオ)」の基地内部を見学させていただきました。
それだけでも嬉しかったのですが、今回なんと撮影現場に潜入させていただけることに! 私たちが愛してやまない特撮は、一体どんな方々の手によって作られているのでしょうか。
大興奮のウルトラマンX特撮パート、現場の模様をお届けします。
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■大きな秘密基地の匂い
見学させてもらったシーンは屋内セットでの撮影でした。スタジオに入ると、青空が綺麗に描かれたホリゾント(背景壁)が強烈に目に飛び込んできます。
いたる所に工具やミニチュアの部品などがまとめられていて、子供の頃に作った秘密基地を1,000倍大きく格好良くした感じです。
特撮パートで使用するカメラは「ハイスピードカメラ」という特殊なカメラを使います。このカメラは高速度での撮影が可能で、スローモーションに近い効果を生み出します。
これにより、ウルトラマンや怪獣の動きをダイナミックに撮影することが可能だそう。
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■職人の技が光る!
一般的な撮影では、現場の指揮をとる監督やスタッフ、シーンを切り取るカメラ、照明、音声、衣装など、多くの専門職の方がそれぞれの持ち場を担当します。
特撮の現場ではこれらの役割に加えて、ミニチュア、操演、といった「花形」といっても過言ではない専門の職人がおり、彼らの技術がなければ成り立ちません。そんな職人さんの技をご紹介!
特撮の醍醐味といえば、火薬。今回はゴモラが地中から登場する演出で使用されていました。足下には受け皿に火薬と土を仕込んだものを設置し、爆発時に飛び散る土を拡散させない工夫がなされています。
スタジオの脇でひとつだけ隔離されているこのビル、何に使用するかわかりますか? そうです、ビル破壊のシーンに使用するもの。一発撮りにつき絶対に失敗が許されないシーンに、現場に緊張感が走ります。
ゴモラの強烈な尻尾により大爆発!
かなりの重量があるにも関わらずピッタリの位置に向かって振り下ろされる尻尾、計算された方向に飛んでいく破壊されたビルの破片、これらすべてを絶妙なアングルで収めるカメラ! まさに職人芸。現場では
「おおー! やったー!」
と成功を喜ぶ声もあがりましたが、喜びに浸る間もなく、セット上では次のシーン撮影の為に新たなミニチュアが早くも並びはじめています。この日の撮影は夜遅くまで続けられていました。
テレビで見るとほんの数秒のシーンでも、実際そこにかけられている労力と時間と熱量は凄まじいもの。
監督をはじめ、カメラマン、照明、造形、怪獣、ヒーローと、多くの職人が力を結集して作り上げているのです。
特撮は「特殊撮影」の略称。カメラワークやミニチュア、CGなどを用いて、どんな景色でも、どんなあり得ないことでも実現させられるのが特撮。
しかし、その源泉となるのは人間の想像力。言い換えれば夢です。夢が詰まっているのは、作られている現場が夢に溢れているからだと思いました。
作品を観る際は、自然過ぎて見逃しがちかも知れないシーンも注意深く鑑賞し、そこに宿る職人の夢を感じてみてはいかがでしょうか。
(文/モノブライト・出口博之)