「犬と猫どっちか問題」に終止符を打つ?
狼のように生きることに疲れ、そろそろ尻尾を振ることを覚えなければと思い始めている俳優/ハイパーメディアフリーターの黒田勇樹です。こんにちは。
皆は、どうやって「お金持ちのおじさん」と知り合っているのでしょうか? 芸能人生七不思議のひとつです。
このコラムは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べる「妄想的」な語源しらべぇです。
■犬と猫
©iStock/ anurakpong
人類の社会生活のなかで、もっとも寄り添っている2種類の動物。言葉の世界でも、彼らを使った表現はたくさん存在します。
代表的なものが「猫をかぶる」「会社の犬」。冒頭で筆者が使用した「尻尾を振る」に至っては「犬」という単語は入っていないのに「犬」のことをあらわしていることが、よくわかります。
なぜ「犬をかぶる」「会社の猫」とは、言わないのか? 言葉の検証をする際、こうした逆説的なところから考えていくことがひとつのセオリーなのですが、筆者が思うにここまで犬と猫という存在が身近なものであれば、
「お前、今、猫かぶってんの? それとも犬?」
と、いったように「犬」と「猫」を、比較対象として比喩するような表現も、出てきておかしくはないと思うのですが、中々見つかりません。 「会社の猫」という響きは、なんかもう「可愛いんだろうな」としか、思いません。
このことから考えるに、ポイントは「如何に三者が共存しているか」なのではないでしょうか?
人間、犬、猫、それぞれがお互いの生態のなかで上手くやっているからこそ、比較されずオンリーワンの表現として使われ、「尻尾を振る」の様に、名前を出さなくても理解できるまでの存在となったのではないでしょうか?
関連記事:名前に「エビ」が入るとあだ名が「エビちゃん」になる確率は?
■ちなみにコレもある
牛と馬も、かなり人間に寄り添った生物であり、多くの言葉に使われているのですが、「サラリーマンを“馬車馬のように働く”というなら、風俗嬢を“乳牛のように働く”というのはどうか?」と、いう方向での考察しか出てこなかったので、今回はここで止めておきます。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)