「メリークリスマス」は言っちゃダメ? 日本人も知っておくべき「ホリデー」の使い方
もはや「メリークリスマス」は禁句? 代わりに使われる「ホリデー」について解説。
「iTunes Store」でクリスマスソングを購入したことがある人の中には、ジャンルの欄に「ホリデー」と書かれているのを見たことがあるでしょう。
また、海外の有名アーティストがクリスマスソングばかりを収録したアルバムを発売する際、「ホリデーアルバム」と紹介されることがあります。「クリスマスアルバム」ではなく、「ホリデーアルバム」。
さて、直訳すれば“休日”という意味になるこの「ホリデー」という言葉、なぜクリスマスに関連して多く聞かれるのでしょうか?
◆もはや「メリークリスマス」とは言わない?
日本人の誰もが知っている英語のひとつ、「メリークリスマス(merry Christmas)」。
クリスマスを祝う言葉としてあまりにメジャーであり、日本では“メリクリ”などと略されることもありますが、この言葉には言わずもがな、Christ(キリスト)が入っています。クリスマスは元々、キリスト教徒がキリストの誕生を祝う日ですからね。
宗教的な思想・風習とはあまり関係なくクリスマスを楽しむ日本人にはピンときにくいところですが、クリスチャンが多数派とはいえそれ以外の宗教を信じる人も多いアメリカなどでは、この「メリークリスマス」に抵抗を感じる人が少なくないのです。
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そこで、ポリティカル・コレクトネスの観点から代用されるようになった言葉が、「ハッピーホリデーズ」です。
アメリカでは主に12月を“ホリデー・シーズン”といいますが、それはクリスマス休暇だけでなく、ユダヤ教の祝日「ハヌカ」やアフリカン・アメリカンの文化を祝う「クワンザ」など様々な祝日が集中する時期だから。
つまり「ハッピーホリデーズ」は、宗教は関係なく受け入れられやすい言葉だというわけですね。
“クリスマス”と“ホリデー”には、このような関係があるのです。
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こういった言葉の代用には、キリスト教保守系の人たちから「言葉狩りだ」といった類の批判も当然起こっているようですが、「ハッピーホリデーズ」が挨拶として浸透していることは事実。最近は日本でも、店頭ポスターやPOPなどで「Happy Holidays」と書かれたものを見かけるようになりました。
日本にはそもそも“クリスマス休暇”がないので、実際にこの言葉を使う場面は基本的にないと思われますが、覚えておくとアメリカの映画やドラマを理解しやすくなるかもしれません。
クリスマス付近以外では「ハッピーホリデーズ」とは言わないのが普通なので、この言葉が出てきたら「メリークリスマス」と言っている、あるいは年末年始の場面なんだと考えても良いでしょう。
なお、キャメロン・ディアスらが主演した日本でも人気のクリスマスシーズンを描いた恋愛映画『ホリデイ』(原題:The Holiday)は、アメリカでは12月(2006年)に、日本では3月(2007年)に公開されました。このアメリカでの公開時期にも、“ホリデー”への認識が表れているといえるかもしれません。
(文/しらべぇ編集部)
(取材・文/Sirabee 編集部・Sirabee編集部)