【日本酒】燗酒の季節到来!お燗の基礎知識と「燗あがり」するオススメ銘柄3選
こんにちは、精進料理研究家、食ライターの麻生怜菜です。紅葉が深まる季節になりましたね。冬の足音が近づいてきたようです。木枯らしが吹くこの時期から恋しくなるのが、温かいお酒! 特に温めた日本酒は最高です!!寒い日は、身体を温めるのにぴったりの飲み物ですよね。
日本酒を温めることを、「お燗(おかん)」と言います(ちなみに、お湯を加えて温かくした、「お湯割り」とは違います)。 お燗の習慣は、江戸時代中期以降から一般的になりました。
「お燗」は、温度によって呼び方が異なります。
・「飛び切り燗(とびきりかん)」55度前後
・「熱燗(あつかん)」50度前後
・「上燗」45度前後
・「ぬる燗」40度前後
・「人肌燗」37度前後
お酒の性質によって、また好みによって、温度を調節します。
お燗に合う日本酒としては、基本的に旨味や酸味が強く、コクがしっかりしている純米酒がオススメです。温めることでお米の味が強調され、舌ざわりが滑らかになり、ふっくら膨らむような味わいが楽しめます。
対して大吟醸酒は、温めるとフルーティな香りが飛んでしまうのでお燗には向いていません。同様に、生酒も酒本来のフレッシュさを味わいたいものなので、温めないほうが無難でしょう。
日本酒を温める時は、湯煎をする要領でお湯に徳利(とっくり)をつけて温めます。鍋にお湯を沸かして、沸騰したら火を止め、鍋に徳利を浸しておく方法が、温度調節がしやすいです。お燗するといっても、沸騰させてはいけません。お酒の味のバランスが崩れてしまいます。また、水から時間をかけてゆっくり温めてもいけません。酒の香りが飛んでしまいます。
ちなみに、電子レンジでもお燗はできます。徳利にラップをして温めてください。お酒の香りの成分が飛びません。
ではここで、「燗酒(かんざけ)」向きの日本酒を紹介します。今回は、入手しやすいお酒の中からオススメ3つを紹介したいと思います。
■出羽桜 枯山水(でわざくら かれさんすい)
明治26年(1893年)創業。3年間低温貯蔵(5℃)された熟成酒です。お燗によって、元々の淡麗で滑らかな味わいに甘くふっくらとしたやわらかい味わいが加わります。また、熟成された独特な香りも引き立ちます。まさに、上品に枯れたなめらかな味わい。「ぬる燗」がオススメです。
製造:出羽桜酒造株式会社
日本酒度:+5
使用米:こうじ・美山錦
精米歩合:55%
アルコール:15.5度
■黒松剣菱(くろまつけんびし)
永正2年(1505年)創業、約500年の伝統を持つ蔵元。米の香りが濃く、キレの中にもまろやかな味わいがある辛口純米酒。精米歩合を毎年変えることで、味を調整しています。「ぬる燗~上燗」がオススメ。温めることで米の香りがふくらみ、酸味や辛みに加えコクが増すようです。
製造:剣菱酒造株式会社
日本酒度:±0
使用米:山田錦・愛山
精米歩合:約70%
アルコール度数:約16.5~17度
■黒龍 九頭龍大吟醸燗酒(こくりゅう くずりゅうだいぎんじょうかんざけ)
文化元年(1804年)創業。燗上がりする味覚の研究を重ね、熟成にも着目したお燗向け大吟醸酒です。大吟醸酒特有の繊細で上品な酒質を保ちながら、米本来の甘みやまろやかさが感じられ、絶妙な燗上がりが味わえます。「人肌燗」がオススメです。
製造:黒龍酒造株式会社
日本酒度:+4
使用米:五百万石
精米歩合:50%
アルコール:17度
これからの季節、お燗酒はカラダを温めるにはぴったり。しかも、ゆるやかに酔いを身体に巡らせてくれるので、一気に記憶失くすほど酔ってしまった…なんてことはありません。ぜひ、今年はお気に入りのお燗酒を見つけてみてはいかがでしょうか?
(文/精進料理研究家、食ライター・麻生怜菜)