【松澤千晶のアニメめくるめく世界】「百合」というジャンルの魅力を徹底解説

2014/07/02 12:00


こんにちは、フリーアナウンサーの松澤千晶です。私はアニメを見る事が大好きなのですが、近年のアニメや漫画、娯楽作品に関しては、特に「百合(ゆり)」というジャンルが目立つように感じます。

さて皆さん、この「百合」って何だかご存知ですか?

この言葉から真っ先に思い浮かべるのは、まず百合の花だと思いますが、まさにその通りで、男性同士の深い戯れが「薔薇」と言われたことから、対義語として女性同士の戯れが「百合」と名付けられたものです。

そこで、「ということは、レズビアンか?」という疑問も生じるでしょう。レズビアンは純粋に同性の恋愛関係なので、この「百合」は少しニュアンスが違うように感じるのです。ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、僭越ながら、この松澤が順を追って説明させていただきます。

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■百合のはじまり

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まず、この百合というジャンルは日本の戦前の少女小説(代表例は吉屋信子著「花物語」)での女性同士の友愛関係がはじまりとされ、「エス」と呼ばれていました。エスとは主にsister等の頭文字から来ています。それ以前の芸術作品、フランスの画家マリーローランサンの絵画などにも女性同士の仲睦まじい描写が度々見られることから、ジャンルとして昔からその片鱗はあったのではないかと私は考えています。(ただし、彼女は後に同性愛に目覚めたとされています。)

現在では、少女漫画など様々な作品で女性同士の「友情」という言葉だけでは説明しきれない描写が数多く存在し、百合を題材にした「コミック百合姫」(一迅社発行)という漫画雑誌が存在するほどです。

見慣れない方にわかりやすくお伝えすると…例えば、女の子同士がきゃっきゃと戯れている様に何とも言えない愛らしさを感じたことはありませんか? 近年では、アイドルグループのメンバー同士のやりとりや絆に心を動かされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

おそらく、それが「百合」もしくは「百合」の一部なのです。今回はそんな百合について、いくつかのケースをあげながらお話したいと思います。

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■百合の関係性を構築する作品3選

・ケース1:「あまちゃん」

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いきなり健康的な作品が出てきましたね。社会現象とも言われ、大ヒットした朝の連続テレビ小説です。こんなものまでそういった目で見ているのかと非難を浴びそうですが、この物語の主人公・天野アキと、その友人・足立ユイの関係は、まさに百合と言っても過言ではないくらいお互いを意識していました。友達だけどライバル、でもやっぱり大好きな関係。お互いを認め合っているからこそ、ぶつかり合い、ぶつかった分だけ思い合う…最終的にはボーイフレンドを凌ぐ存在にもなってしまいます。

すみません、これはもう立派な百合です。

タイプの違う2人の女の子の友情物語から派生するこのケースは、映画「下妻物語」も該当すると思われます。

・ケース2:「魔法少女まどか☆マギカ」

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こちらは大人気のアニメ作品で、劇場化もされました。この物語の主人公・鹿目まどかは、ふとしたことから大きな戦いに巻き込まれてしまい、友人である暁美ほむらがそれを回避すべく何度も敵に立ち向かうというストーリー。ほむらのまどかに対する気持ち、またその他の主要キャラクターに関しても、思春期の女の子の心の繋がりを主軸に描かれている点が多く見られ、お互いを強く思うがために助け合うその様は友情を超えています。

すみません、これも立派な百合ですね。

・ケース3:「マリア様がみてる」

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百合の金字塔とも言われるライトノベルで、アニメ化、実写映画化などもされました。「私立リリアン女学園高等部」というカトリック系のミッションスクールを舞台としており、上級生と下級生で結ばれる「スール」という姉妹制度を描いた物語。

主人公・福沢祐巳と姉妹制度を結んだ「おねえさま」こと小笠原祥子を中心として描かれていますが、この姉妹制度が先輩と後輩という仲を超えて、時に激しく、時に切なく、異性間では得られないロマンスがあるのです。この2人以外にも、姉妹制度を結ばずに精神的な繋がりを中心に描かれている佐藤聖と久保栞の関係は非常に狂おしく、心を突き動かされるものがあります。

すみません、これはもう百合以外の何物でもありません。

アニメ作品では「Strawberry Panic」や「ゆるゆり」など、これ以外にもまだまだ数多くありますので、興味を持たれた方は是非ご自身のお気に入りの百合作品を見つけてみてください。

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■百合から感じるもの

最近ではガールズラブとも言われるようですが、個人的には、同性愛とも割り切れず、友情とも愛情とも表現し難い、しかしながら明らかに想い合っている関係ではないかと思います。私自身、少し憧れもありますので多少の美化は否めませんが、嫉妬や憎悪といった醜さも含めて美しく感じられるのが百合なのではないでしょうか。

百合…その響きだけで甘美な香りを感じませんか? 最近、私は「ゆりかもめ」などの言葉を耳にするだけで、その響きにうっとりしてしまいます。

(文/フリーアナウンサー・松澤千晶

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