そもそもなんて読むの?新種のねずみ講?Facebookに次ぐSNS「tsū」を使ってみた
Facebookのユーザー数は全世界で10億人を優に超え、Twitterも2億人も超えたと言われている。SNSは今や情報社会を生きる私たちには欠かせない存在だ。
そんな中、米企業Unlock Tsūは10月21日に一風変わったSNS「tsū」を立ち上げて、話題となっている。そこで、まだ日本語版はリリースされていないが、実際にtsūに登録してみた筆者がその実態をご紹介しよう。
まず、そもそも「tsū」は何と読むのだろうか。実はこれ「ツ」ではなく「スー」。オーバーラインをつけることで長音になるのは、ラテン語系の言語にはよくあるらしい。
今までのSNSは、ユーザーが書いた文章や撮った写真など、コンテンツをアップロードしても、広告で儲かるのはプラットフォーム(Facebookやtwitterなど)側だけ。ところが、「tsū」の最も注目すべき点は、広告収入の9割がユーザーに還元されるというところなのだ。
登録するには、他のユーザーからの招待が必要。招待をもらい、名前、ユーザーネーム、メールアドレスなどを打つと簡単にアカウントをつくることができる。
パソコンで開くと、画面のサイドに広告が表示されるが、ユーザーがこの広告をクリックすることで広告収入が生じる仕組み。そして、自分が招待したユーザー(tsūでは「チルドレン」と呼ばれる)が広告収入を得たとき、自分もその一部をもらえることができる。つまり、自分が招待したユーザーが多ければ多いほど稼げる可能性は高くなるのだ(仕組みがマルチ商法やねずみ講に似ている気が…)。
Facebookと同じ要領で、知り合いに友達申請したり、承認することができる。友達にはならずにフォローする機能もある。自分が投稿した記事の公開設定も変更することができ、友達限定かユーザー全体に公開するかを選べる。ページのデザインはシンプルで使いやすく、配色は明るい緑を基調としていて親しみやすい。
しかし、二週間ほど積極的に写真付き記事を投稿し続けたが、悲しいことに全く儲からなかった(下記がそのスクリーンショット)。
理由として考えられるのは、1クリックあたりの広告収入が少ないことではなさそうだ。「収入0.00ドル」から推察するに、恐らく誰もクリックしていないのだろう。というのも、まだユーザーが少ないこともあって、フィードに表示される記事が少ない。自分の記事だけで友達のフィードが埋め尽くされるのを想像すると、投稿し続けるのも気恥ずかしくて気が引けてしまう。
投稿できない。稼げない。この悪循環に陥っているtsūユーザーは少なくないだろう(といってもtsūユーザー自体が少ないのだが)。ユーザーが増えない原因としては“招待制なので、爆発的に利用者が増えるのは難しい”ことや“招待したユーザーが多いほど稼げるという仕組み”が、怪しいというイメージを与えてしまっているとも考えられる。
稼ぐつもりで意気揚々と登録した筆者の友達も、稼げない現実に突き当たり投稿しなくなっていった。結果、立ち上がりから過疎った状態になってしまい、なおさら儲かる見込みがない。
とはいえ、ユーザーの投稿が本人の収入につながるというのは魅力的な話。稼ぐ方法が限られている途上国の人々もパソコンがあれば、皆クリエイターとして新たな収入を得られるかもしれない。これから発展する可能性もあるが、それはまだ遠い先になりそうだ。
(取材・文/しらべぇ北海道支部)