「○○役!○○でした!」よく考えると奇妙な芸能界用語【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
全力を注いだ舞台が終わり、頭も心も、体力も空っぽの黒田勇樹です。こんにちは。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
舞台が終わり、カーテンコールの拍手の中、挨拶をしていてどうしても気になることがありました。キャスト紹介といって、それぞれ「○○役!○○でした!」と自己紹介して挨拶していくのですが、「ハマちゃん役!黒田勇樹でした!」と、挨拶した時に感じた違和感。
「でした」?よく使われる挨拶なので、気にせず言っていましたが、この連載を始めたせいか、「何故、過去形なんだ!?俺はいったい今誰なんだ!?」と、公演中ずっと気にしていました。この言い方で挨拶をすると、筆者は「黒田勇樹だった誰か」になってしまいます。
ファミリーレストランなどでも、「和風ハンバーグになります」とか、言われると「これからなるの!?今はなんなの!?マジシャンなの!?」と、気になって箸が進まなくなるアレと同じ現象です。
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■「エントリーナンバー18番」
©iStock/Meinzahn
これもオーディション等で、よく使われるフレーズなのですが、よく考えてみると「ナンバー」の後に「番」が来ることが、気になって仕方がありません。
「馬から落馬する」とか「月夜の晩に」とか「頭痛が痛い」と、同じような重ね言葉になってしまっています。
これから審査をしてもらう大事な時に、これを言っていると思うと、なんだかバカっぽくてちょっと恥ずかしい気持ちになります。
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■「おはようございます」
©iStock/PhanuwatNandee
業界用語不思議ランキング1位はなんといっても、「朝でも夜でも挨拶は“おはようございます”」
語源は諸説あるのですが、筆者が聞いたものは「昔は陽が指している時間しか舞台ができなかったから」、「入時間に対して“早く”来ているから」のどちらかが有力なようですが、いずれも歌舞伎から発祥した習慣だそうです。
ついつい使い慣れてしまい、気にならない「業界用語」ですが、考えてみると不思議がいっぱい。これからもガンガン、メスを入れていき、業界を正しく、そして正しい日本語についての造詣を深めていこうと思います。黒田勇樹でした!
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)