新宿に50トン級「砂ゴジラ」を作った砂像彫刻家に直撃インタビュー

新宿でゴジラを探せ!今年は子供も楽しめる「クリエイターズフェスタ」開催

2015/08/28 19:00


都庁の真下からムクムクと顔を出した巨大なゴジラ 50トンの砂と水だけで作られているこの「砂ゴジラ」。高さ3.6メートルの大きさにも圧倒されますが、精巧な都庁や血管までもが浮き出る顔の描写も話題になっています。

sirabee0828gozira出典:ゴジラ©2015 保坂俊彦/FAD/SRS Co.,Ltd. TM&©TOHO CO.,LTD

砂ゴジラを猛暑のなか11日間かけ制作していたのは、砂像彫刻家の保坂俊彦さん新宿区主催の「新宿クリエイターズ・フェスタ」の作品のひとつとして、今回、ゴジラを依頼されたそうです。

新宿でゴジラを探せ!今年は子供も楽しめる「クリエイターズフェスタ」開催

世界中の砂像イベントで、ひっぱりだこの人気の砂像彫刻家ですが、まだ日本ではあまりなじみのない職業。そこで、砂ゴジラの作品についてお聞きしつつ、いったいどうしてこの道に進んだのか? どういう仕事なのか? お聞きしてみました。


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■実はゴジラだけではない! 13体の仲間も隠れてる

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今回、「ゴジラ作って!」と依頼されたものの、デザインは保坂さんにお任せ。そこで、昔のゴジラ映画を見直したり、フィギュアを買ったり、東口の新宿東宝ビルにできた「ゴジラヘッド」を見に行ったりして構成を考えたそう。都庁とゴジラの組み合わせが新鮮です!

「せっかく新宿中央公園で都庁が見上げられる場所なので、ゴジラを都庁の前から出現させました。みなさん、正面から写真を撮っていきますが、ぜひ側面や背面もみてほしいですね。ゴジラの仲間が13体かくれています。これは全部、昭和の怪獣です」(保坂さん)


①モスラ(幼虫) ②ガイガン ③エビラ ④ゲスラ ⑤キングギドラ ⑥アンギクス ⑦ミニラ ⑧ゲットジャガー ⑨ラドン ⑩メカゴジラ ⑪バラゴン ⑫モスラ(成虫) ⑬メガロ


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■砂ゴジラの作り方 雨でも大丈夫?

保坂さんが砂を削っていると、道行く人が「雨でも大丈夫なの?」「砂だけなの?」と声をかけてきたそう。確かに疑問ですよね? いったいどうやって砂ゴジラはできたのでしょう?

「まず千葉の館山から50トンの砂を、大型トラック4台で新宿中央公園に運びました。


なぜ館山の砂がいいかというと、キメが細かくて固まりやすいので。そして5段の木枠に砂を入れて水を入れて固め、上から掘り出していきます。


後から付け足したりできないので、うっかり大きく削ってしまうと大変です。形ができると、上から水で糊を溶かした定着剤を、何度も吹き付ければ多少の雨でも大丈夫」(保坂さん)


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「定着剤が乾く前に雨が降ると崩れてしまうので、実は新宿に集中豪雨が降って崩れてしまい、土台部分は全部やり直したんですよ


そして都庁が思ったよりも大変で、これだけで3日かかりました」(保坂さん)

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粘土のように、ざっくり全体の形を作って、今度は細かいところを…というわけにはいかないようです。彫り始めたら、1段分は細かいところまで彫って定着剤をかけてしまいますから、完璧に完成させなければなりません。

下段の構成もしっかり頭に入っていないとできないですよね。


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■ 消える砂アート。なぜこの道に?

炎天下のなかの作業、そして集中豪雨、せっかく作ってもイベントが終わると壊されてしまいます。自然とともに制作し、最後も土に還る不思議なアート。なぜこの砂像彫刻家の道に進んだのでしょうか?

「芸大の彫刻科の学生だったころ、母の実家のある秋田で『サンドクラフト in みたね』というイベントがはじまることになって、



息子さん、彫刻やっているなら、ちょっと出てくれないか?と頼まれたんですけど、学校で作っていたのは木や粘土などですから、砂で制作したのははじめてでした。



その時は、インドのガネーシャを作ったんですけれど、ゴジラよりもずっと小さい像でした。それで毎年、夏休みに出ているうち、全国で『サンドアート』のイベントが少しずつ、始まって、いつの間にか仕事に(笑)」


なぜ砂か? うーん、そうですね…、子どものころ砂山を作って遊んだ記憶は誰でもあるでしょう。砂と水だけで作品ができるシンプルなおもしろさって、あるんじゃないでしょうか

はかないけれど、それゆえに、人々の記憶に残るのかもしれません。保坂さんは『砂でここまでできるのか!』と驚きの作品の数々を残してきました。2011年に発表された「DOOR」は高さ7m。ゴジラの2倍近くあります。

sirabee0828gozira2-1画像出典:”DOOR”2011 ©2014 保坂俊彦/FAD/SRS Co.,Ltd.

間近でみたら、すごい迫力でしょう。しかし、なにしろ自然相手。苦労は尽きません。

「台湾で制作したときは、40度近くて、もう汗は吹き出るし、頭はくらくらするし大変でしたね。


こんなこともありました。2008年にドイツの『砂像世界選手権』に参加したとき、ソロ部門で3位を獲得したんです。けれども表彰式で賞状を受け取った5分後に、突然、ひょうが降ってきて作品が穴だらけ(笑)。


まるで機関銃で打たれたような作品を見て、泣きそうになりました」

自然の材料だけで、さっと作って、さっと去っていく。家で作って現場に運ぶわけではないので、ホテル暮らしが多いそうですが、旅から旅……風の彫刻家ってかっこいい。

ゴジラは9月27日(日)まで新宿中央公園「水の広場」に展示。9月6日まではライトアップもされています(雨天ライトアップ中止)。夜10時までなので、会社帰りに光るゴジラに会いに行ってみてください。

【新宿中央公園】
東京都新宿区西新宿2-11

(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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