PCデポの「契約解除料10万円」は合法なのか弁護士に聞いてみた
パソコンやスマホの販売・サポート事業を展開する「PCデポ」が80代の老人に月額1万5千円の契約をさせ、違約金として10万円を支払わせたとインターネット上で物議を醸している。
発端となったTwitterでの投稿を見てみると、確かに10万円の契約解除料をユーザーは支払っており、かなり激怒しているようす。だが、こんな高額の契約解除料は常識的に考えてアリなのだろうか?
気になったので、しらべぇコラムニストで、レイ法律事務所に所属する松田有加弁護士に話を聞いてみた。
■松田弁護士の契約解除料に対する見解
「PCデポはサポート契約の解約料として20万円の解約料を求め、最終的に投稿者は10万円の解約料を支払うことになったということですが、このような解約料の定めは、消費者契約法9条1項によって、一部無効となる可能性があります。
少しややこしいのですが、 PCデポが定めた解約料が、同種のサポート契約の解除によってPCデポに生じる平均的な損害額を超える場合には、その超える部分は無効となります。
つまり、サポート契約が解除されたからといって、PCデポに通常10万円も20万円も損害が生じないのなら、それを解約料として消費者に支払いを求めることはダメ、とされているのです。
このようなケースでは、まず国民生活センターに相談してみるのが適切でしょう」
契約の内容にもよるが、基本的にPCデポが確実に10万円の損害を受けないかぎり、お金を返してもらえる可能性は高そうだ。
20万円の契約解除料がいきなり半額になるというのもおかしな話だと思うのだが…。
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■そのほかにも問題が?
また、ほかにもPCデポはネット上で「問題では?」と指摘されていることがある。
それは、1TBのハードディスクに月額制のクラウドストレージを4TB付け、5TBのHDDに見えるようなPOPを出しているということ。
確かに画像を見ると大きく5TBと書かれ、その下に小さめの文字で(1TB+4TBクラウド)と記載している。こちらも問題無いのか松田弁護士に話を聞いてみた。
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■松田弁護士のPOP表記に対する見解
「仮に業者側が、5TBのうち4TBはクラウドストレージだということを隠して販売した場合には、商品の質についての重要事項を説明しなかったことになります。
これを、「不利益事実の不告知」(消費者契約法4条2項)といいます。
不利益な事実を知らされずに、この外付けHDDを購入した人は、消費者契約法4条2項に基いて売買契約の取り消しをすることができます。
ただ、今回のPOPを見ると、「4TBクラウド」という表示は一応されているので、重要事項の説明はされていると判断される可能性が高いでしょう。
なお、この外付けHDDに関する表示が、「著しく優良であると一般消費者に誤認される」表示である場合には、景品表示法で禁止されている優良誤認表示にあたることもあります。
ただ、「4TBクラウド」という表示がPOPにされているので、優良誤認表示だとされる可能性は低いと考えられます。
優良誤認表示である可能性が高くなるのは、 たとえば、POPではなく、パッケージの中に封入されている説明書などに小さい字で「4TBクラウド」と書かれているだけであった場合などです」
ハードディスクにクラウドストレージを抱き合わせで買う意味があるのかは置いておいて、こちらはとくに問題無い売りかたらしい。
このようなトラブルに巻き込まれないよう、パソコンに詳しくないお年寄りが家電量販店などで契約を結ぶときは、子供が付き添いで行くほうが無難そうだ。
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