「AV女優の出演強要被害」問題に川奈まり子が語った1万字の真実
現役AV女優からも反論の声が上がる「AV強制出演」問題。川奈まり子氏の1万字を超える提言をご覧ください。
■AV女優=被雇用者になると深刻な弊害も
AV出演を「職業安定法及び労働者派遣法の公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務である」とどこの狭量な裁判官でも思わない程度にソフトな内容に改め、AV女優をプロダクションの被雇用者にして労働者として労働保護法で護った場合にも、深刻な問題は起こりうると思われます。
ひとつはAV女優のブラック・バイト化。また、雇用主による各種ハラスメントに遭いやすくなり、拘束時間は長くなり、福利厚生などが付く代わり手取りの報酬は下がり、ワープア化する可能性が考えられます。
もうひとつは刺激的なエロチシズム表現が合法AVではなし得なくなることで非合法なワイセツ動画の需要が増大し、需要が供給を生んで、プロダクションが犯罪組織化すること。そこで働く女性は、現在の合法AVの女優よりさらに暴力や詐欺などの犯罪に晒されやすくなるのでは。
HRNサイド、たとえば伊藤和子弁護士は、AV業界側からの自浄努力が足りないと指摘されています。もっともなご意見で、即座に従うべきだと私も思いますが、ここまで述べてきたようなジレンマがあるため、AV業界側ができることは限定的だということはご理解願いたく思います。
関連記事:みひろ・七海なな・吉沢明歩が激白!料理好きよりモテる男子は…
■メーカーとプロダクションの間には断絶
また、ひとくちにAV業界と言っても、実際にはAV制作・製作業界とAVプロダクション業界とふたつの世界に分けたほうが適切なぐらい断絶していて、互いの業務に関与することは困難だという実状もあります。
たとえば、私や夫(AV監督の溜池ゴロー氏)は制作・製作サイドの人間なので、プロダクションには疎い。
メーカーや制作会社の側からしてみれば、プロダクションがAV女優に損害賠償請求をしようが出演料の不払いで逆に訴えられようが知る由もなく、ただ風の噂で聞こえてくる程度です。それほど断絶は深い。
反対に、プロダクションはAV製作・制作サイドに意見できない部分があります。「売れなくなればもう撮ってくれないなんて酷い。うちの女優を使い捨てにしないで」と抗議しても無理。他のメーカーに営業をかける以外にない。作品の内容に意見することも困難でしょう。
各メーカーや各プロダクションは現時点では横のつながりもありません。したがって「AV業界は自浄努力せよ」と迫られても業界が一丸となって動くことはできず、個々に「ちゃんとしよう」と思うのが関の山です(AV業界の皆さんはせめて「ちゃんとしよう」としてください!)
HRNのAVに関する報告書が問題にしているのは、AV出演者が被る被害のみです。私は出演強要被害に遭ったことがなく、また同じく被害に遭っていないAV女優を少なからず知っていますので、我々の経験から「出演強要や暴力被害に遭わない対策」を導き出せると考えました。