「AV女優の出演強要被害」問題に川奈まり子が語った1万字の真実
現役AV女優からも反論の声が上がる「AV強制出演」問題。川奈まり子氏の1万字を超える提言をご覧ください。
■女優は契約を主体的に結ぼう
AV女優が個人事業主であるという点がAV業界内で過小評価あるいは無視されて、周囲の意思でどうとでもなるプロダクションの持ち駒として見られているのではないかと感じるときがあります。
メーカーとプロダクションが第一次の出演料を決める場所にAV女優自身が立ち会わないことも、そう思う理由のひとつ。
AVプロダクションの取り分は、通例、所属前に告知あるいはAV女優との交渉によって取り決められることになっています。折半する場合が多いようです。折半であれば、メーカーが支払った出演料が100万円なら、AV女優は50万円を入手できることになります。
業務委託契約は、内容を改めて結び直すことが可能です。私はその経験があります。AV以外の出演や執筆の依頼が増えたので、AVやピンク映画を除く仕事はプロダクションを介さないことに契約内容を変えて、フリーランスで動ける範囲を広げました。自分のペースで働けるようにするために。
AVメーカーはプロダクションとの長年の付き合いがあり、質の高い(出演作がよく売れる)女優を供給してもらっている立場の弱さから、プロダクションに対して遠慮があり、第一次の出演料を取り決める席にAV女優も寄越せとは言えません。
お陰で悪質なプロダクションは所属女優を搾取し放題です。
すべてのAV出演者は第一次の出演料を知る権利があります。他所のプロダクションに所属するAV女優や製作・制作サイドの人間と「出演料の話をするな」「親しくなるな」と命じる権利は、誰にもありません。
プロダクションが支払う出演料に納得がいかなかったら、我慢せず、移籍したほうがいい。
私自身は現役のAV女優時代、メーカーが払う出演料を知っていました。デビュー間もない頃から溜池ゴロー監督と同棲して、所属事務所公認の仲だったため、隠してもどうせバレるから教えてくれた……わけではなく、他のAV女優でも訊けば教えてもらえました。
良いプロダクションと巡り合えて幸運だったと思います。
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■メーカーにあってプロダクションにない「自主規制」
AVメーカーには自主規制の装置として、現在の合法AVのほとんどを網羅する一般社団法人コンテンツ審査センターがあり、表現内容を規制しています。オモテのAVは、一見過激に見える内容でも、一定のルールを守って審査を通過してきた作品なわけです。
しかしAVプロダクションには、業務内容に一律のルールを定める自主規制団体は存在しません。
第一次の出演料の最大何割までを取り分とできるかを一律で定めて、所属するAV女優から出演同意を得る前にメーカーの支払う出演料を告知することを義務化すれば、ギャラに関するトラブルは減りますよね。
もっとも、出演料を巡る不幸については、AV出演者がフリーランスになってしまえばほぼ回避できるのですが。
ただ、効率よく多くの仕事を得たり、大手メーカーから多額の出演料を得られるよう交渉したりしようと思えば、やはり、プロダクションに所属したほうがいいということになります。