「無自覚で強姦」するエリート大学生たち 調査で判明した男女の乖離

勝部元気氏に聞いた。

2016/12/09 07:00

性犯罪
(TAGSTOCK1/iStock/Thinkstock)

女性に集団で乱暴したなどとして千葉大学医学部生3人と、研修医が逮捕された事件。

事件の発覚を恐れたのか、「救急車を呼んで」という女性の要請を拒否した事実が明らかになるなど、世間の怒りはまだまだ収まりそうにない。

そんな中、一部のメディアでは東京大学、慶応大学で起こった「学生らによる性犯罪事案」とあわせて語られている。


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■東大、慶応大、千葉大で集団わいせつ事件

確認しておくと、東大の事件はサークルの男子大学生5人で女性を全裸にし、体を触るなどの行為で「強制わいせつ罪」などに問われたもの。(⇒詳細

慶応大の事件は広告学研究会が「合宿所」と呼ばれている施設で女子学生にテキーラを飲ませ、強姦したとして神奈川県警が捜査に乗り出したものだ。(⇒詳細

上記3件すべてにおいて、女子学生らは酒に酔った状態で、抵抗できないようにしてから男子学生らは蛮行に及んでいる。

そのような状況下で女性に手を出せばどうなるのか、難関大学に入れる頭の持ち主だが簡単にわかりそうなものだが、言動を見る限り自覚に乏しいものが多い。

たとえば東大の事件では、加害者男性らは「カップラーメンの麺を女性の胸元に落とす」「ドライヤーの熱風を局部にあてる」などの行動をとり、女性が泣いたあとも「場をしらけさせるのが嫌で見捨てた」などと供述。

自分たちの行動が犯罪だという意識は、残念ながらまるで感じられない。


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■20代女子の5人に1人は「レイプ被害未遂」経験あり

さて、ここに興味深いデータがある。

レイプ未遂年代別グラフ

これは、しらべぇ編集部が全国の20代~60代の女性680名に「レイプ被害にあいそうになったことがありますか?」と尋ねた結果だ。驚くべきことに、20代では19%、30代では14%が「ある」と回答している。

当然、見過ごせない数字なわけだが、気になるのは若い世代ほど該当率が高いことだ。5人に1人が経験済みと考えると、「夜道で女性を刃物で脅し……」のような、テンプレートな性犯罪者だけを原因とするには、無理があるようにも思える。

一体なぜこのような数値が出るのか、しらべぇ取材班はコラムニストでフェミニズムに造詣が深い勝部元気氏(@KTB_genki)に話を聞いた。


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■「潜在的強姦未遂」の多さを物語っている

勝部氏:強姦や強制わいせつと聞くと、前述のような猟奇的な異常性欲者を想像する人もいるかもしれません。しかし、実際は「明確な合意の意志表示があった性行為以外はすべて性暴力」ということをまず理解しなければなりません。


このような性暴力事件を起こす人の特性として、女性は自分と同じ人格を有する1人の人間という認識が不足していることや、対等に性的な行為を行うということの意味を理解できていないことがあると言えます。つまり、性的な行為は男性がするものであり、女性は肉体という道具を提供するものと思っている人が少なくないということです。


もちろん良識がある人は教えられなくとも自然に身につくと思いますが、現状は個人の良識任せであり、暴力の予防という観点から考えればあまりにおざなりです。「飲酒等で意識の朦朧とした相手と性行為をしようとしてはいけない」などの、『加害予防教育』が行われていない結果と言えるのではないでしょうか。


また、日本の司法にも問題があると思います。かなり明確に強く抵抗しなければ合意したと見なされてしまうため、加害者側が事前に気をつけなければならないという意識が芽生えにくい状態だからです。


合意だったということを容疑者側が立証しなければならない国もありますから、日本は潜在的加害者の養殖環境としては大変「良好」だと言えます。


今年はいくつか事件が大手メディアに取り上げられていますが、データの数字が示すようにメディアで取り上げられない事件や未遂事件は本当に数多くあり、あくまで氷山の一角です。


今この瞬間も無自覚のうちに「性犯罪者」になってしまう人が脈々と培養されていると考えて、全学生対象に講習を行う等、一刻も早い対策を講じたほうが良いでしょう。もちろん小中高の段階での教育の徹底や、厳罰化を含む法整備も絶対不可欠です。


勝部氏が語る「明確な合意の意志表示があった性行為以外はすべて性暴力」という認識は、たしかに男性が抱きづらいかもしれない。

相手の気持ちひとつで自分が「強姦犯」にもなりうることを、すべての人が把握しておくべきだろう。

そして、真の意味でエリートであるなら、己の傲慢さに気づき、自分の思い違いに対しても誠実に向き合っていかなければならない。

(文/しらべぇ編集部・クレソン佐藤 取材協力:勝部元気

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2016年11月25日~2016年11月28日 
対象:全国20~60代の女性680名(有効回答数)

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