老舗ヘヴィメタルバンド『ANTHEM』に学ぶ 「メンバーの個性」の活かし方
日本ヘヴィ・メタルの重鎮、ANTHEMの柴田直人に常見陽平氏が直撃。
■フジソニック2017にも出演
常見:その熱量はファンに伝わっているのだと思いますよ。そういえば、最近はフジソニック2017に出演が決まりました。メタルバンドはANTHEMだけ。異色のようで、一般の方にANTHEMが届くのが嬉しいです。
柴田:今回、大好きな加山雄三さんとステージが一緒なんでそれも嬉しいです。小学校低学年のころ姉や妹を観客にしてホウキをギターのかわりに持って「エレキの若大将」ごっこをやっていましたからね (笑)。
常見:これまた、メタル専門誌では語られないエピソードですね(笑)。
柴田:いつもとは違う雰囲気のイベントかもしれませんが、持ち時間を目いっぱい演奏して、どういうふうに映るのか、楽しみ半分、恐怖半分。でも、楽しそうですよね。こんなに長い間やっていても、まだこんなにわくわくする場所があるんだと思うとなんだか幸せですよね。
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■がん克服で変わったことは…
常見:活動量の量と幅でANTHEMが変化していることはありますか?
柴田:近年は特に、スタッフもメンバーも含めて、挑戦することの楽しさを感じています。安定したルーティンの活動もとても大事なんですけれども。自分の心を覗きながら、自分のケツをけり上げながら、やらざるを得ない状況にする。
一生懸命準備して、ステージに立って全力でやっています。がんという病気を経験したことで、より人生観が明確になったんですかねえ。まあ昔からそういう傾向はあったんですけどね (笑)。
常見:がんを克服されてから、柴田さんもANTHEMも変わった気がします。より解き放たれたし、よりストイックになりました
柴田:人生を楽しみたかったら、なにに対しても全力でやることだと思うんですよ。全力だと、失敗してもどこか楽しい、成功すれば倍楽しい。中途半端にやると、失敗すると後悔するし、運よく成功しても満足も低いんですよ。
病気になって、これまでの人生、まだまだ中途半端だなと思ったんですよ。そうして、自分で自分を蹴り上げていると、それを見ているメンバーも「じゃあ俺も」となる。スタッフもみんなもそのノリになって「もっと面白いことないか」って考え始めるんですよ(笑)。
常見:今は、大の大人が悪ふざけをしていますよね。
柴田:そうです。そんな感じ(笑)。人生を楽しむ近道は、ぼくにとってはとことん音楽やメンバーに入れ込むことです。そのためにはどうしても心から尊敬しあえる仲間が必要。メンバーとスタッフと組んでどこまで走れるのかを今は徹底して楽しみたい。