NHK「無痛分娩特集」に波紋 痛みより大事なことは「選べる安全な環境」

安全性が問われている「無痛分娩」だが、仏での普及率に驚きの声が

2017/08/18 16:00


赤ちゃん
(alice-photo/iStock/Thinkstock)

日本でも「無痛分娩」を選択する女性が増えつつある昨今、18日放送の『おはよう日本』(NHK)にて、無痛分娩を選択した女性の、ドキュメンタリーが放送された。

「痛みを伴わないお産なんて…」「麻酔によるリスクが心配」など、否定的な意見が拭いきれない無痛分娩の実態に、ネットでは様々な意見があげられている。



■「無痛分娩」の現状に驚きの声

「痛みは出てきましたか?」との助産師の問いかけに、女性は「下腹部に生理痛のような鈍い痛みが…」と訴える。

すると、女性の背中に無痛分娩のための麻酔が注射され、その後淡々とお産への準備が勧められていく。

付き添っていた夫が、心配そうに「痛くない?」と気遣うと、妻は「大丈夫」と気丈に振る舞う。この間も、彼女の体内では壮絶な生命誕生のドラマが巻き起こっており、麻酔を打っていなければ、中には苦痛のあまり絶叫してしまう妊産婦もいるほど。

こうして、無事出産した女性に対し、ネットでは驚きの声があがっている。

https://twitter.com/aya6216/status/898311684477009920

痛みを和らげて出産する選択肢もあるのだと、改めて関心が高まったようだ。中には同番組を見て「無痛分娩を選択したい」といった女性ユーザーからの声も。


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■仏出身女性のツイートが話題に

日仏比較エッセイ『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』の著者、西村・プペ・カリンさんが、18日の「無痛分娩特集」を受けて、無痛分娩を選択する女性の多いフランスの現状と比較したツイートを投稿。

「フランスでは、分娩の6割以上が無痛分娩です。2割ぐらい帝王切開です。つまり麻酔で8割。『痛みを感じながら産んだ方がいい』と思う人少ない。妊娠10ヶ月で辛い時たくさんあるから、さらに分娩の際に痛みが必要だと思わないのです。大事なのは、どの分娩にするか、選べる安全な環境を作る事です」


フランスの分娩の現状を具体的な数値で示したうえで、妊産婦は妊娠中も産後も大変辛い経験をしていることなどもあげ、改めて「分娩方法を選ぶことのできる安全な環境作り」の重要性を訴えたこちらのツイートは、多くのユーザーから共感を得ている。

また、改めて無痛分娩の充分な体制と管理がなかなか整えられない現状を訴える声もみられる。


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■無痛分娩を「甘え」と思わないで…

やむを得ない事情による「帝王切開」であっても「楽なお産」などと揶揄される風潮がある中、無痛分娩を選択することに対して「甘え」と言われてしまうことを疑問視する声も。

https://twitter.com/konozama347890/status/898328088643198976

https://twitter.com/AW1SOF6zgEeyWTJ/status/897437668606222336

無痛分娩を選択するかどうかは個人の問題であるが、痛みが和らいでいたとしても、「命を懸けてお産に挑んでいる」ことに変わりはない。

カリンさんのツイートにあるように、大切なことは「痛みを感じること」ではなく、「選ぶことのできる安全な環境」ではないだろうか。

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(文/しらべぇ編集部・もやこ

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