障害も「唯一無二の特性」 東ちづるが舞台『月夜のからくりハウス』にかける思いとは

「まぜこぜの社会」をめざす一般社団法人『Get in touch』が、「見世物小屋のドキドキ感」をコンセプトに届けるエンターテイメント。


 

■団体設立の頃から温めていた舞台

東ちづる

これまで、アート展やライブなどを開催してきたGet in touchだが、12月には初めて大規模な舞台を控えている。平成まぜこぜ一座による『月夜のからくりハウス』だ。

東:「こういう舞台をやりたい」と考え始めたのは、この団体を立ち上げてすぐの頃からです。この舞台のキーワードは「見世物小屋」ですが、その歴史やどのような経緯で消えていったのか、負の側面についても、学び調べました。


私が子供の頃は、まだテレビで小人プロレスを放映していました。動きがユーモラスで、魅力的な芸です。ごく普通のバラエティ番組にも小人の方が出演していましたが、今ではNHKの『バリバラ』や日テレの『24時間テレビ』など、教育や福祉、チャリティという枠でしか、見ることができません。


彼らの中には、「純粋なエンタメとしてもっと見てほしい、活躍の場がほしい」という人もいるんです。


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■批判の声とメディアの忖度

チャリティ的な文脈を除いて、マスメディアの中から障害者たちが見られなくなった背景には、視聴者との関係性も指摘する。それは、東自身が体験したことでもある。

東:日本のテレビからは、バラエティ豊かなさまざまな人が消えていきました。映画でも、日本では健常者が障害者を演じますが、海外には障害のある役者やパフォーマーが所属するプロダクションもあって、障害者がそのまま障害者を演じるケースも少なくありません。


その背景には、視聴者からの批判や抗議も影響していると思います。これは、私も身をもって体験しています。自閉症のイベントを開いて何年か経った頃、「実績も重ねたし、そろそろ挑戦的なメッセージを出したい」と思って、「お先、真っ青」というキャッチコピーを発信したんです。世界自閉症啓発デーのシンボルカラーである、青にかけて。


ところが、ごくわずかに抗議が届いたんですね。「『お先真っ暗』を連想させる。自閉症家族の痛みをわかっているのか」と。自閉症協会の方にも対応してもらい、納得していただいたのですが、イベントの協賛企業にも直接抗議がいって、何社かの企業さんは実際に協賛をおりられました。


これは運営サイドにとっては大変な痛手ですから、メディアが忖度してしまうのもわからなくはありません。

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