良水を求めて蔵を移転、朱鷺を育む田で酒米を 佐渡の酒蔵『金鶴』が続ける挑戦
朱鷺が棲む島、佐渡でオール佐渡産『made with Sado』にこだわる酒づくり。
日本酒は米と水からできている。全体の8割は水が占めており、うまい酒を造るには何よりも良い水が必要不可欠だ。日本酒蔵のある場所は名水が湧いているが、水は自然のもの。思うようにいかなくなることもある。
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■納得できる酒を造るために探し出した良水
佐渡島沢根の地に加藤酒造店は1915年に創業した。しかし1993年に仕込蔵を移転。原因は水にあった。
「私が目指したのは軽やかで柔らかな口当たりで飲み飽きないもの。前蔵に湧き出ていた水で仕込むと、どうしても重たい酒に仕上がってしまう。ここでは自分の目指す味は造れないと、島内の水脈を巡り、やっと巡り会えた水が金井にあったのです」
という4代目蔵元で社長の加藤健さん。 選んだ金井にはもともと他の酒蔵があったが、すでに廃業。酒蔵があった場所には名水ありの理のとおりである。
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■移転にともなう困難も
蔵を移転、建て替えることは酒蔵にとってシビアなことも多いしかし、それ以上に4代目にとって酒造りに一番必要なのは「水」だった。
「移転した当初、味が変わった、昔のほうが良かったという声もあった。全く売れていないこともなかったのだから、移転しなくてもいいのではともいわれた。
でも酒を造る私が納得できなければ、これから自信を持って、加藤酒造店の暖簾を掲げることはできない。だから移転した」
移転して24年。金井の地に湧きでる水で仕込む酒は、すっきりした柔らかな口当たりで、いつまでも飲みあきない。