『姫の井』といえば「もち米四段仕込み」 一徹に寒造りにこだわる女性蔵元
新潟・柏崎で、もち米を使った全国でもまれな酒造りを行っている。
■旨みたっぷりの濃厚な風味になる技法
それでは「もち米四段仕込み」にするとどんな酒になるのか。造り手を代表して金澤要介さんが答えてくれた。
「もち米を使うと旨みたっぷりの濃厚な風味になります。コスト高にはなりますが、酒味に幅とコクが出てふくらみのある酒になりますね」
十日町出身の金澤さんは、酒の小売り販売業から蔵人に転身。石塚酒造の「かめぐち酒」に出合い、その独特の旨みが人生航路を変えたのだという。 どうしてこの旨みは生まれるのか、その探究心から蔵に入ったのだ。
そして知った「もち米四段仕込み」。この技法によりコクと爽やかな甘みが加わり、酒はより芳醇でまろやかな味に仕上がっていく。
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■全国でもまれな造り方
「もろみは通常、酒母に麹・蒸米・水を3回に分けて加えます。これを三段仕込みといいますが、四段仕込みは搾る少し前に糖化した蒸米と水を加える方法です。うちではこのときにもち米を使っています」
と語る金澤さん。もち米使用の四段仕込みで造っているのは、新潟県内では数蔵、全国でも希少な例という。
「採用しているのは熱掛け四段法です。蒸したもち米を熱いまま、モロミに入れます。糖化、甘み付けが目的なのでもち米を入れた翌日は櫂入れをしません」
こうして高柳の人たちの暮らしに根付いた「かめぐち酒」は生れる。