ニセモノもいつか本物になるかもしれない…希望残した『anone』最終回
広瀬すず主演ドラマ『anone』がついに最終回!
■舵とるい子の愛も深まる
一方、舵を看取る決意をしたるい子。逃亡先の温泉宿で過ごすうち愛情はさらに深まっていき「あと50年生きますから」「幸せにしますから」と、るい子の膝の上に頭を置いた舵が語るという感動的なシーンも。
その後、以前テレビの街頭インタビューに答えていたことが発覚し、再度ニュースに。それを見てるい子は笑うが、「好きな人を色で例えると?」という質問になるとるい子は驚くことになる。舵が「あおば」「あおばさんの青です」と答えていたのだ。
その後、るい子は警察に出頭。舵は病死しているところを警察に発見され、ハリカはそれをテレビで観るのだった。
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■4人はついに「本当の家族」に
2年が経ち、亜乃音は出所。ハリカが迎えにきてくれた上、家に帰るとるい子と舵が。舵は幽霊となっており、るい子を通じて話す感じだった。(以前からるい子は死んだ娘が見えたりしていた)
その後、ハリカは一人暮らしを宣言。「娘ができたと思ったのらもう独り立ち?」と言う亜乃音に対し、「たまに帰ってくるから娘はかわいいんだよ」と述べるハリカ。
そして4人は一緒になって流れ星を眺める。血縁も年齢も境遇はもちろんのこと、今生きているのか死んでいるのかにすらとらわれていない、「新しいカタチの家族」を4人は体現したのだった。
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■「ニセモノがいつの日か本物に」
ニセ札を題材の中心に据えた本作のテーマは「ニセモノから本物が生まれる」ということだろう。4人は色々すれ違いながら、疑似家族として少しずつお互いに歩み寄って、次第に本物の家族のようになってきていた。
それを象徴していたのがラスト3分の会話シーンだ。鍋を作る最中、本物の蟹を使わずあえてカニカマを使うるい子。最近のカニカマはすごいという話から、メロンパンがメロンになるかもしれない、鯛焼きも鯛になるかもしれない…という一見取るに足りない、じつはテーマに物凄く沿った話が続いていく。
「ニセモノに願いを込めた」とも言うべき会話と、最後に4人が一緒に流れ星を眺めるシーンには、これまで見守ってきた視聴者から喝采が。
いつか「偽物」も「本物に限りなく近い何か」なるかも知れない、という希望の話だった。カニカマはカニに、メロンパンはメロンに、鯛焼きは鯛に、偽札は両替機を通る紙幣に、亜乃音とハリカらの疑似家族は家族に、亜乃音と玲も親子に、流れ星の願い事も現実の出来事に、いつかなるかも知れない。#anone
— おなか (@HNamachiri) March 21, 2018
https://twitter.com/ngz_aki8/status/976498560785989634
「わかりにくい」という声も多かった本作だが、よく観てみれば最初から最後までそのような「ニセモノと本物」の対立構造はずっと貫かれており、そういう意味では親切さすらあると言える。
視聴者の心に深い味わいを残してくれた『anone』。当サイトでも既報のとおり、坂元氏は今後しばらく連続ドラマから離れるようだが、ファンとしてははやく復帰作を観たいものだ。
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(文/しらべぇドラマ班・Sirabee編集部 イラスト/みかごろう)