世界と戦えること示した西野ジャパン W杯ベルギー戦は敗戦も歴代ベストゲーム
サッカー日本代表は2日、FIFAワールドカップ・ロシア大会の決勝トーナメント1戦目でベルギー代表に敗れた。
■この2点が微妙なズレを呼んだ
スコアは2−0となり、日本にとって初の8強入りが現実味を帯びてきた。しかし、それを選手たちも感じたのか、少しずつプレーに微妙な違いを生み始めた。
守備では、相手1人に対して複数人でつぶしに行っていた場面が多く見られていたが、次第に1対1の局面が増えていく。攻撃でも連動した動きが減り、展開力に欠ける足元へのパスが目立つようになった。
日本としては、0−0の気持ちで集中力高く守り続け、0−0の気持ちで貪欲に次の1点を奪いに行くべきだった。だが、幸先よく2点をリードしたことで、どこか深層心理的に油断のようなものが生まれたのかもしれない。
69分に喫した最初の失点はどうしようもなかった。ヤン・ベルトンゲン(トッテナム/イングランド)のヘッドは、クロスともシュートとも言えない、がむしゃらに頭に当てただけのボール。それがたまたま誰にも届かないコースへ飛び、たまたまゴールに入ってしまっただけのように見えた。
しかし、それまでに少しずつ狂い始めていた歯車は、明らかにこの1失点で完全に狂った。この後、74分に途中出場のマルアヌ・フェライニ(マンチェスターU/イングランド)に高さを生かされ同点ゴールを許し、アディショナルタイムにはカウンターからあっけなく失点してしまった。
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■世界と戦えることは分かった
結果的には2−3で敗れ、ベスト16で大会を去ることになった日本。しかし、2点をリードしたところまでは完全にプラン通りのパーフェクトなゲーム展開だった。
個の能力で圧倒的に劣っていても、チームとして共通意識を明確に持ち組織力を生かせば、世界トップレベルの国が相手でも互角に渡り合えることを証明した形だ。
長年の課題である決定力不足も、連動したパスワークや柴崎が得意とするようなキラーパスを生かすことで打開できる。この大会で2ゴールを挙げた乾のようなタレントも台頭してきた。
このベルギー代表戦は、歴代の日本代表が繰り広げてきた数々の試合の中でもトップクラスの好ゲームだったと言っていい。
あとは「勝ち方」を知るだけだ。一発勝負のW杯決勝トーナメントで、日本はリードした状態を戦ったことが一度もなかった。2点リードという不慣れな状況が、選手から「いつも通り」を奪ってしまったのだ。
スコアにかかわらず「いつも通り」ができるかどうか。それはもう慣れる以外に方法はない。