「歌が好きなのが忘れられなくて」 元看護師・結花乃が歌手として表現する音楽の形
看護師の経歴を持つシンガーソングライターの結花乃。彼女の今いままでとこれからについて聞いた。
「クリスタルボイス」と呼ばれる透明感のある歌声を持ち、物語のような歌詞を紡ぐシンガーソングライターの結花乃が、デビュー3年目にしてアルバム『結花乃譚』をリリース。
一見、アーティストとして順風満帆に進んでいるようにも思えるが、道のりはそう簡単なものではなかったという。本人にいままで、そしてこれからについてを尋ねてみた。
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■歌手を目指すきっかけ
シンガーソングライターの肩書きを得る前、彼女は看護師として患者と向き合っていた。デビューに至るまで、どのような経緯があったのだろうか。
結花乃:2016年の9月に『花一匁』というCDでデビューをしたんですけど、その前は看護師として働いていました。もともとカラオケとかは好きだったんですけど、私が歌手になりたい! って思ったのは、高校3年生の文化祭の時。
「最後だし、みんなで思い出作りに何かやろう」ってことでバンドを組んだんです。で、私はボーカルとして初めてステージに立ったんですけど、「あっ私こうやって歌うことが好きなのかも…」と感じたのが、歌手を目指すきっかけでした。
━━でも「そのまま歌手を目指す」という流れにはならなかった?
結花乃:当時高校3年生で、今さら歌手になりたいなんて親に言いづらかった…しかも進学校だったので全員が大学に進学するみたいな場所で…(笑)。「好きだな、やりたいな」って思いは一旦心にしまって、看護師の道に進みました。
ただ歌が好きっていうのが忘れられなくて、バイト代でボイトレに通ったり路上ライブをしてみたり…。ずっとその状態が続いていたんです。
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■「本当に人生を後悔しないのか」
結果的に看護師という仕事に就くことができた結花乃。逆に不安定な職ともいえる歌手を目指すのは勇気が必要だったはず。
結花乃:私が働いていた病棟では、重たい症状の方も多くいました。治療中でやりたい事があってもなかなか難しい状態の方々がいる中で、自分は「やりたいこと」を見つけているのに、やらないでいる…。
「自分は本当に人生を後悔しないのか」って思って、仕事を辞めたのが「私の音楽」の始まり。そこから作詞作曲を独学でやってみたんですけど、何年もオーディションに受からなかったし、厳しい言葉を受けることも多かったですね…。
━━音楽の道に進むと決心したとして、親や友人など周囲から反対はなかった?
結花乃:友たちとかには一切話さなかったですね(笑)。反対されるし、目指したとはいえやっぱり自信もなかった…。ただ、親には話したんですけど、その時は特に反対もせずに「いつかそういう風に言うんじゃないかなって思ってたよ」って頷いてくれました。