無知からくる偏見、差別、思い込み… 東ちづるの前に現れる匿名の声
東ちづるが代表を務める団体「Get in touch」の主催舞台『月夜のからくりハウス』の記録上映会が行われる。
■チャンスを作っていく活動
再演こそ叶わなかったが、今回の上映会では、全盲の高校生シンガー、佐藤ひらり、車椅子ダンサー、かんばらけんた、発達障害(自閉症)のダンサー、DancingLuckyBoy想真(そうしん)という3人の実力派パフォーマーによる演技も行われる。
東:佐藤ひらりちゃんは、パワフルなクリスタルボイスで表現力も素晴らしいのはもちろん、トークもめちゃくちゃ面白くて。東京のワンマンライブを観させてもらいましたが、すごい笑いをとるんですよ。
トークで笑いをとって、歌で盛り上げて。すごいです。障害があるのに頑張っている、ではなく、目が見えるとか見えないとか障害の有無に関係なく、この子は素晴らしいというところを見てほしいんですよね。
かんばらけんたさんはリオパラリンピックの閉会式でパフォーマンスを披露したり、CMに出ていたり。絶賛大活躍中で、今回の出演スケジュールを確保するのも大変でした。
じつは、パフォーマーのみなさんは月夜のからくりハウスに出たあと、本を出版したり、大スターと一緒にパフォーマンスをしたり、かなり注目されていて。私たちが行っているのは施し活動ではなく、チャンスを作っていく活動なので、それはすごく嬉しいです。
想真はこの3人の中では一番わかりにくい障害なんですよね。自閉症で、男性でも女性でもないジェンダーで。彼の生きづらさはなかなか伝わりにくいけど、地球に来て150億年という自分なりのストーリーを作って生きていく術にしています。想真のダンスも独特です。
この3人に共通するのは、すごくポジティブに信念を持って生きているんですけど、痛みがあるんです。その痛みはアーティストにとって重要なものだと私は思っているので、この3人のそういったところが伝われいいなあと思います。
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■私たちがまた頑張りますよ
2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、Get in touchが行ってきたような活動に取り組む企業や団体も少なくない。いい傾向なのでは、と思われるが、東は「でも、みんなそこで達成するわけでしょ」と達観した表情を浮かべる。
では、そうした企業や団体に2020年以降も活動を続けてもらうにはどうすればいいか。そう聞くと、彼女からは戻ってきた返答は「私たちが2021年からもまた頑張りますよ」と何とも頼もしいものだった。
東:2020年って、スポーツにしてもアートにしてもパフォーマンスにしても、秀でている人が注目されるでしょ? 結局、才能のある、頑張れる障害者の方たちと一緒に活動することが多くなってしまう。
それはすごくいいことなんですけど、みんながみんな、そんなエリートじゃないんですよね。それをどうやって表現していくかということはすごく考えています。
障害の有無にかかわらず、同じじゃないですか? 私も芸能人だから、「東さんだからできるんでしょ?」ってよく言われるんです。それをどのように発信していくかが課題ですね。