無知からくる偏見、差別、思い込み… 東ちづるの前に現れる匿名の声
東ちづるが代表を務める団体「Get in touch」の主催舞台『月夜のからくりハウス』の記録上映会が行われる。
■思い込み、偏見、差別
東がGet in touchを立ち上げたのは東日本大震災後の2011年。社会を変えるため、様々な活動を続けてきた。そして活動すればするほど、知らないこと、わからないことがあると気づくのだという。
その中で、「本当にわからない…」と彼女に首をかしげさせるのが、SNSの興隆によって現れた匿名の声だ。
東:映画を撮ったり、学校にDVDを配布したり、いろいろな活動をしていますが、必ずバッシングをしてくる人がいます。社会の役に立たない人はいらないと、生産性という言葉を使って人の価値をはかろうとしたり。
そこにロジックがあれば、ちゃんとディスカッションができると思うんですけど、思い込み、無知からくる偏見、差別…。結局は分断になるんです。SNSがあるからかな? 今までは小さかった声が大きくなっているように感じます。
生産性。その言葉を聞き、ある国会議員の「同性カップルは『生産性がない』という主張を思い出す人も多いのではないだろうか。「友人も、あの言葉に深く傷つけられた」と伝えると、東は「あのとき傷ついたのはLGBTの人だけではない」と話す。
東:子宝に恵まれなかった夫婦、結婚していない人、障害児のいる家族も傷ついた。それなのに、「それはごもっとも」と賛同する人もいて。
生まれてきただけでいい。生きていることがどれだけ大切で、尊いかを知らずにきてしまったんでしょうね。それこそ、問題にならないといけないことだと思うんです。
その人たちは「社会の役に立たないといけない」と思いこんでいるわけで、結果的に自分の首を絞めることになっている。自分がけがや病気で障害のある体になったら、子供ができなかったら、高齢者になったら、生きる価値がないということになりますよね。常に健やかな者「健常者」なんていないのに。
どんな状況、どんな状態でも生きていることに価値がある。その価値がわかっている国だからこそ、社会保障という制度があるわけです。
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■興味がわいたらまず調べる
自分が社会に対して、じつのところ、無関心でいてしまっていること。そのことに気づくのはなかなか難しい。
しかし、この記事を読み、東の取り組みに触れた人の中にはきっと、無関心だったと気づいた自分はまず何をすればいいのだろう、と思った人もいるのでは。そんな話をすると、彼女は「一番は思考停止にならないこと」だと教えてくれた。
東:興味がわいたら、まずは調べてみてください。今の時代は検索だと思うんですけど、検索で終わらず考察する。そして、自分がどう思うかを言語化していけるといいなと思います。考えはまとまらなくてもいいので。
私もずっとまとまりません。常に“I‘m just thinking”です(笑)。あと、全ての情報をそのまま受け取るのではなく、「あれ? これおかしくない?」と疑問を持つことも大切だと思います。
顔と顔を付き合わせて、いろんな人と喋ることも重要だなと。たわいもない会話ももちろん大事なんだけど、時には真面目なことを話してみてもいいんじゃないかな。日本、特に東京は、真面目なことを話すのを避ける傾向があると感じています。
なので、月夜のからくりハウスを観たら、家族、友達といっぱい喋ってほしいです。
『平成まぜこぜ一座 月夜のからくりハウス』記録上映会&パフォーマンス
11/30(土)、12/1(日)
①開場13:30/開演14:00 ②開場18:00/開演18:30
会場 EDOCCO STUDIO(神田明神文化交流館 地下1階)
東京都千代田区外神田2-16-2
入場料 前売り一般 1,300円/当日 1,500円
※幼児・小・中・高校生入場無料/一般(18歳以上)要チケット
※会場にて1ドリンク500円別途(ドリンク代は現金にてお支払いください)
※障害者手帳提示で1ドリンク無料
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)