公明党・三浦信祐青年局長に聞く 「少子高齢化をチャンスにイノベーションを」
防衛大准教授から参院神奈川選挙区で当選。現在は全国に張り巡らされた公明党青年局を率いる。
■少子高齢化をチャンスと捉える
与党としての責任も担っている三浦議員に、これからの日本の成長戦略についても直撃したところ、「逆転の発想」で答えが返ってきた。
三浦:少子高齢化・人口減少社会が同時にやってくるのは、人類が経験したことがない、いわば世界最先端のチャンスとも言えます。
そうした視点から、たとえば介護でおもてなしができるサービスを整えていく。高齢になっても働きたい人が働ける場所を整備し、自分が介護を受ける側になっても誰もが受け止めてもらえるような制度をつくる。こうした施策を国がしっかりサポートしていく。
その知見やノウハウ、技術は、いずれ必ず世界に求められます。それを海外に輸出することもできますし、海外から来た人材を育成していくこともできる。これが、私が考える成長戦略のひとつです。
一方で、老老介護の問題もあります。その際にネックになるのが、家の中で介護しようと思ってもノウハウがない、また体力的な問題です。こうした場合は、地域コミュニティの活用も有効ですが、技術を活用すべき。
ロボットスーツであったり、ITを駆使してすぐ遠隔相談できるシステムなど、あらゆる視点で技術に投資していく。介護現場で生まれた技術が、建設作業に役立つ…といったイノベーションが起きる可能性もあります。
「必要は発明の母」という言葉もあるが、この状況を乗り越えることがイノベーションにつながりうると語る三浦議員。
三浦:公明党は、政治のど真ん中に福祉を置いた政党で、介護職員の処遇改善に一貫して取り組んできました。やっと一歩踏み込んだところですが、まだまだ道半ばです。
税収の問題に直面しているのは事実ですが、なんとしても支え手である介護従事者、保育士などがしっかり給料をもらえる社会にしなければいけない。
少子高齢化は望んでなった状況でないからこそ、それを乗り越えることがチャンスになると考えています。
今、日本が置かれている環境こそがチャンスだという認識ができれば、こんなイノベーションが起きる機会はない。この認識を拡めることが、成長戦略の第一歩だと思います。
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■将来に残るインフラ投資で地方創生
少子化とともに大きな問題になっている地方の過疎化や大都市への一極集中。若い世代との交流も多い三浦議員は、どのように考えているのだろうか。
三浦:私の実家は福島にあって、高齢化が著しく、中心市街地の空洞化も現実的な課題です。
また、選挙区である神奈川でも、発展している都市部と郊外のギャップは肌身で感じています。「できないことはできない」と言うことも大事ですが、希望をもつべきこともたくさんあります。
過疎化が進む地域の若い世代と懇談すると、地元を愛している若者が多いことに気づかされます。にもかかわらず地元好きな彼らが都市に出ていくのは、給料がよいからだけではない、と。「地元に遊ぶ場所がないんです」という声がリアルに聞こえてきます。
たとえば、移動手段のスピードアップが実現できれば、地元に住んでくれる若者は多くなるでしょう。180km先に行くのにどれだけ時間がかかるか国際比較した調査では、日本では3時間かかるところをドイツでは1.9時間、イギリスでは2.3時間でした。
仮にこれだけのギャップが埋まれば、できることが変わってくるはずです。
地方創生政策として、さまざまな交付金や特区なども実施されているが、三浦氏は「守りから攻めの投資」を訴えた。
三浦:自動運転の研究も進んでいますが、自動車だけ進化すればいいわけではなく、インフラが整ってこそ価値が生まれます。
本当に必要なインフラ投資を行い、地方の物価は低いことを逆手にとって、自由度の高い経済状況で地元に暮らしていただく。物流もスピーディになっていく。
今の地方創生は「どう守るか」になっていますが、国家的な資産形成に向けた投資がまだまだ足りません。こうした戦略もなく地方にお金だけ渡すのは、無責任です。次の世代の財産になっていくことを考えるべきだと思います。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)