新型コロナで大打撃のゲーセン『中野TRF』 店長の退職は「未来のため」だった
どこかレトロな雰囲気が漂う街・中野にて愛されるゲームセンター『中野TRF』が、新型コロナによって直面した危機とは…。
■現店長としての思いは…
長山氏が店を去ってしまうと、中野TRFのカラーがガラッと変わってしまうのではないか。不安に思う「中野勢」も多いと思うが…。
長山氏:お店の良さは変わらないと思うので安心してください(笑)。ただ、自分がコミュニティの中心になって運営していたイベントなどは変わってしまうかもしれません。自分が作ってお店に置いていたゲームの攻略冊子や解説のように、マンパワーと直結する部分は変化を免れないでしょうね。
でもお客さんたちが中心となってイベントを活性化させているタイトルは今でも多く、本当に嬉しく思います(ウル4含む)。彼らがいる限り中野TRFの良さは絶対に消えないと思いますね。自分がいなくなった分を、ぜひお客さんたちに補ってほしいです!
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■原人の思い
現在は『ストリートファイター5』という最新タイトルも発表され、レトロゲームに片足を突っ込んだ状態の『ウル4』をプレイする人々は自虐気味に自らを「ウル4原人」と呼称している。そこで記者(私)は、中野TRFに連日通っていたという原人に、同店への思いを語ってもらった。
原人:中野TRFはマルチゲーマーが多いことと、たくさんのタイトルを初級者から学ぶことができるのが魅力ですね。その文化のお陰で、新参者の自分も早く馴染むことができました。イベントには初心者のプレイヤーを優遇した「中野ルール」と呼ばれるものもあったり、プレイヤーの声や提案を可能な限り拾ってくれます。
最初来たときはスーパーのゲームコーナーより小さくてびっくりしました(笑)。しかしお店のゲーム愛は業界随一で、サブカルが充実している中野らしさを感じるゲーセンだと思います。
■北斗勢の思い
稼働して早々に糞ゲー認定されてしまった『北斗』。そんな不遇のタイトルが中野TRFを起爆剤とし、どのように再評価されていったのかを、北斗勢にして中野TRF店員である江尻氏に聞いた。
江尻氏:北斗は最強キャラであるトキの性能の壊れ具合が明らかになり、一時期はほぼ完全に終わったゲームとなっていました。その後も中野では細々とプレイする人たちがいたのですが、その内の1人が現在では主流となった画期的な即死コンボ・通称「バスケ」を発見したのです。
このコンボは実用性もさることながら応用性、発展性など全てが目覚しく、何より見た目が面白すぎて北斗勢のハートをガッチリ掴みましたね。このテクニックが発見されてから、一度は北斗から離れたプレイヤーたちも戻ってきたり、新規勢も多く入ってきて、中野は北斗の聖地として認定されるようになりました。
さらに2008年には、全国規模の格ゲーの大会『闘劇』にて北斗が種目ゲームに復活するなど、その熱は全国に広がっていったと感じています。また、中野では当時から『ニコニコ生放送』などの生配信にも力を入れていたため、北斗の面白さとインパクトを多くの視聴者に広めることができました。この流れは、今でいうe-sportsの走りではないかと思います。
初中級者に親身でありながらも、上級者たちがガチれる空間を共存させた不思議なゲーセンが中野TRF。新型コロナが収束した暁には、ゲーマーたちの歓声がまた聞こえてくることだろう。
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(文・取材/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)