少年ジャンプがなおも盛り上がる理由 『鬼滅』超え期待の『アクタージュ』
長期連載終了ラッシュの『週刊少年ジャンプ』がなおも期待される理由を特に『アクタージュ』の潜在性を分析することで考察。
■女優が主役という異色作
『アクタージュ』はシンプルに言ってしまえば、 主人公が女優として頂点を目指すような物語である。とはいえ、そこまで女優の頂点が明示されているわけでもないが、 結局のところ主人公がライバル俳優たちと切磋琢磨するあたりはなかなかジャンプ的だ。
またストーリーとしては非常に深いものとなっている。よって全体的にはジャンプ的でない設定とストーリーと言えるが、物語の随所にはジャンプ的なわかりやすさがしっかりとあるのだ。
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■『銀河鉄道の夜』
特にストーリーの深さは特筆すべきだろう。 主人公の夜凪景(よなぎけい)は憑依的になりきる演技法を駆使する。しかしなりきるにはその対象と共鳴するかのごとく、その対象を理解しなければならない。
このような背景の上で、宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』の舞台を演じるストーリーでは、 死期が迫った舞台演出家・巌裕次郎(いわおゆうじろう)の経験や心情を喰らい取り込み、巖が率いている劇団天球を舞台を通して代わりに夜凪が伝え導く物語となっている。
なぜならば夜凪は、主人公のジョバンニに「ほんとうの幸」へと同じく伝え導こうとする死者であるカンパネルラを演じるがためだ。