過熱するも市民は冷める横浜市長選挙で珍事連発 全候補取材から見えたものとは
8月8日告示、8月22日投票の横浜市長選挙も折り返し地点を過ぎた。
■三度会えなかった林文子市長
取材者泣かせなのが現職の林文子市長だ。公式の街宣予定を見て、12日、綱島駅からバスで15分ほどのショッピングモールに行った。そこが林氏の遊説場所だからだ。あまりにもモールが巨大なので林事務所に電話をかけ、隣接する公園でやると聞き、向かった。
横浜市議という男性が陣営のシンボルカラーのオレンジ色のポロシャツを着て、マイクを握っていた。「林先生は何時にいらっしゃるんですか?」と聞くと、男性は「公務のため、今日は一日マイクを握らない」とのことだった。
翌日は綱島駅・東口でやると公式サイトに書かれているのに、待っても来ない。かすかに街宣の音が聞こえてきたので西口に行くと銀行前で横浜市議が演説していた。候補者がいないのに市民から「横浜にカジノはいらないんだよ!」という怒声も。
林氏が現れるのも告知されていた時間より30分後だという。私は機材をセッティングして待ったが、ゲリラ豪雨に見舞われたため機材が壊れる恐れから撤収を余儀なくされた。
15日は朝8時から「横浜中華街」で遊説と書かれていた。陣営に電話して、指定された場所に行くも誰一人来ない。遠くで「林文子本人です」という声が聞こえてくる。
やがて候補者なしで無音の街宣車が来たので「林先生がここで演説をやると聞いたのですが」と伝えると、「もう演説が終わって、いま、中華街を練り歩いています」と言う。
ちなみに、コロナ禍のため、選挙管理委員会からは、商店街などを練り歩きチラシを配る行為は控えるように促されている。現職市長が率先して破るという珍事だ。
同日18時から19時まで横浜駅西口で演説するというので、遅れて現地に着くといなかった。そこにいた週刊現代の知己の記者に聞くと彼も演説を聴けなかったという。現場にいた市民に話を伺うと5分もしないで帰ったそう。
関連記事:『スッキリ』サーフィン女子・都筑選手が答えた「これからしたいこと」に反響
■市長の演説にも聴衆はゼロ
四度目の正直で会えたのが、15日10時15分から青葉台駅。林氏は16分弱演説した。聴衆はゼロ。演説を終え、通行人に林氏が近づくもみんな無視。
これは話すチャンスと思い、私の親が青山高校で林氏の一年後輩で、親と近しい同級生が林氏の熱心な後援者であることを伝えると「あらー。○○君と知り合いなのね。お母様によろしく伝えて」と肘タッチをされた。
田中康夫陣営以外は立ち止まる通行人がいなく、聴衆ゼロがままある、というのが今回の選挙の特徴でシラケきった印象を受ける。それは「カジノは白紙」と言って当選した林市長がわずか2年でカジノ推進へと変節したことが大きな要因であろう。