「死者のクローンを作って」の依頼 クローン羊ドリーを生み出した研究者らが困惑
遺伝子操作で大いに物議をかもしたクローン羊は、iPS細胞研究の発展に寄与していた。
■生まれるのは赤ちゃん
そんなドリーの研究チームの一員であり、PPL Therapeutics社の元代表取締役であるロン・ジェームス博士がある日、「知人の彼女が数週間前に亡くなりました。結婚直前だったのです。彼女のクローンは作れませんか」という驚きの手紙を受け取ったという。
博士は「理論的には可能かもしれないが、生まれてくるのは赤ちゃんで、愛した彼女より18~20歳も年下になります」と現実を指摘。
さらに「一人のクローン人間を完成させるには何百もの受精卵が必要で、そのすべてを、出産までたどり着ける可能性がほとんどないことを理解している代理母に、胎内で育ててもらう必要があるのです」とその難しさを語った。
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■iPS細胞の礎に
ドリーの誕生時には、物議を醸したクローン技術。
しかし、ドリーを生み出すのに使用された細胞をリプログラミングする技術は、他の科学者たちによって、大人の皮膚細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を生み出す技術へとつながり、幹細胞研究の発展に大いに貢献したのだという。
ドリーは2003年2月14日、6歳で死亡。科学の発展に大いに寄与したドリーは、現在エディンバラのスコットランド博物館にはく製となって展示されている。
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(文/Sirabee 編集部・原田パラン)