『キングオブコントの会』が革命的な理由 現役に対抗する松本人志のコントを考察
パワーアップした『キングオブコントの会2022』を、ロバートと松本人志に注目しつつ、考察する。
■練り上げられたシンプルな構造
ベタなコント風でありながら、突如挿入される不条理設定。その設定を軸に、不条理さをスルーしながら、解決策を自然に模索するやりとりへ。
としながらも、家でのバンド練習中に突如出現する穴に落ちたにも関わらず、平然と、何故か毎回チャイムを鳴らし玄関から大竹が帰ってくる、そこはかとない不条理さ。
ベタ風コントに不条理設定を挿入し、後はベタでも不条理でもシュールでも何でもできてしまう、練り上げられたシンプルなコント構造となる。
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■「コントの復興」
松本のセンスを、コントに非常にうまく導入した点を考えれば、往年の松本のコント以上に完成されたコントと評価すべきではないだろうか。このコントを「天才」と、杓子定規的に評価したところで何の評価にもなっていないだろう。
また、コント「落ちる」は、空気階段らがもたらした昨年の『キングオブコント』の「物語の展開性」が特徴的なコントに対して、「構造のシンプルな洗練」によって応えるアンサーコントともいえる。
以上のように、笑いのハイレベルさとわかりやすさを両立させることに成功した『キングオブコントの会2022』は、「コントの復興」を華々しく告げる番組といえるだろう。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)