知床観光船遭難の原因は悪天候だけではない? 洞爺丸事故にもあった「偽りの晴れ間」
知床の観光船で起きた痛ましい遭難事故。1954年の洞爺丸事故でも「偽りの凪」が…。
■網走で25mの危険な強風を観測
実際の海の状況は、網走の観測データに近かったかもしれません。寒冷前線通過後、西~北の風に変わってから最大風速・最大風速を観測しています。
寒冷前線が通過したタイミングと思われる6~9時頃に風が弱まっているのも興味深いです。
かつて北海道-青森間の津軽海峡を結んでいた青函連絡船・洞爺丸が1954年に台風15号の影響で沈没した際も、「偽りの晴れ間」があり、それによって出航を決めたことで、遭難・沈没に至ったということが語り継がれています。
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■背後の事情にも目を向けるべき
今回も、朝6~9時ごろは、宇登呂・網走ともに風が弱まっていますので、「偽りの凪」という状況が判断を誤らせた可能性もあるでしょう。
また、コロナ禍による観光客の減少が経営を脅かし、無理をしてでも出航させなければという状況になっていた可能性もあり、そういった部分についても気になるところです。
悪天候が事故をもたらしたことに違いはありませんが、背後にあったそういった事情についても目を向け、今後対処をしていくことが必要です。