ハワイで「JCBカード」を使うべき理由　回り回って大きなメリットに…

「支払いはJCBカードでお願いします」。

今回の記事がハワイ編現地レポートの最終回。私はハワイで買い物するときは必ずJCBカードを使うようにしています。その裏には一見経済合理的ではないようにも思える“ある考え方”があるのですが、今日は回りまわってメリットがおきる経済学の話をしてみたいと思います。

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■ワイキキトロリーはJCBカードで無料

ホノルルへの海外旅行で大半の旅行客の方が宿泊するワイキキ近辺と、アメリカ最大級の売り場面積を誇るアラモアナショッピングセンターの間を結んでいるのがオレンジ色の二階建てバス「ワイキキトロリー」です。

このワイキキトロリー、一日券は5ドルかかるのですが、ハワイ旅行でホノルルに行かれたことがある方はよくご存知の通りJCBカードを見せると無料で何度でも乗ることができます。

これから初めてハワイに旅行する人は「旅行前になんでもいいからJCBカードを作ってハワイに持っていくといい」と覚えてください。ワイキキトロリーはとにかくホノルルでは便利な交通手段なのです。

さてここからが本題です。なぜJCBカードはわたしたちを無料でワイキキトロリーに乗せてくれるのでしょうか？　その理由は日本で生まれたJCBカードが世界に飛躍したいという野望にあります。

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■ハワイはJCBの海外進出の足掛かり

VISA、マスターカード、そしてアメックスという海外の３大ブランドと違って日本発のJCBカードはこれまで海外進出には大きな苦労を重ねてきました。その例外がハワイです。ハワイでは比較的早い時期からJCBカードが利用できるお店が数多く開拓できていたのです。

その理由はおそらくふたつあって、そもそもハワイはアメリカの州の中でも日系人が最大勢力だという特殊事情があることに加え、もうひとつ、産業の最大の柱が観光でありその最大の顧客が日本人だという事情があるからです。

ハワイではJCBラウンジに行けば日本人観光客は無料のサービスを受けられますし、JCBカードを見せることでお得な割引が受けられるクーポンもさまざまな有名店を対象に発行されています。JCBカードは日本人観光客のためにたくさん投資をしているのです。

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■日本人向けビジネスが壊滅状態の中で…

さて実は今年、3年ぶりにハワイ旅行をすることになって私が最初に心配したのはこの無料のワイキキトロリーが残っているかどうかでした。コロナ禍以前のワイキキにはJCB以外にも各旅行会社が運行するトロリーがたくさん走っていて、旅行客はそれぞれが使う旅行会社のトロリーに分散して移動していたものです。

ところが2023年の年初の段階ではそれらのトロリーが大幅に削減されていて廃止されていたり、走っていても一時間に1～2台しか運行していなかったりと状況は様変わりしていました。日本からの旅行客が激減した結果、体力のない会社から順番に「観光客の利便性のためにトロリー運行に投資する」ことができなくなってきていたのです。

それでJCBにずっと無料のトロリーを運行してもらうためにはどうしたらいいか？　観光客がどんどんJCBカードを使ってあげればいいのです。私たちがカードを使う場合、どのクレジットカードを使っても支払う金額は変わりません。でも私たちがJCBカードを使えば、そのたびにJCBカードには手数料が入ってきます。

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■「手数料収入」

今回のハワイ旅行で私が使ったお金を合計すれば、JCBカードには5,000円ぐらいの手数料収入が入ったはず。私たちにはどちらでもいい選択が、JCBカードにとっては積もり積もれば大きな差になるのです。

コロナ禍でJCBもいろいろとコスト削減を考えたはずです。この冬だって、ハワイでみんながJCBカードを使わなければ来年の無料トロリーはなくなってしまうかも。

「どちらでもいいのであればあえてハワイではJCBを使う」

という行動は回りまわって来年のハワイ旅行を快適で楽しいものにしてくれるかもしれないという話でした。

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（文／鈴木貴博）