国民負担率47.5%の日本はもはや「社会主義国」? そこには国民の要望も…
【舛添要一『国際政治の表と裏』】2022年度の国民負担率は47.5%だという。この状況はまさに平等目指す「社会主義的な国」といえる。
■「小さな政府」か「大きな政府」か
アメリカでは、自力救済、「神は自ら助くる者を助く」という精神で、政府の仕事をなるべく少なくする「小さな政府」の信奉者が多い。とくに共和党支持者である。民主党支持者のほうは、「大きな政府」を求め、政府が国民の健康にもっと介入すべきだという考えである。
しかし、税金負担は「大きな政府」のほうが「小さな政府」よりも大きくなる。日本やヨーロッパの場合、とくに国民の健康に関しては「大きな政府」が当然となっている。しかし、税金の無駄使いという観点からは、効率の良い民間に任せたほうが、そうでない役人に任せるよりも、結局は節税になるという考え方もある。
日本では、よほどの億万長者でないかぎり、「小さな政府」の信奉者は少ないと思う。それだけ、実は政府を信用していると言ってもよい。
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■アメリカの民主主義も参考になる
アメリカはヨーロッパや日本と違って、宗教的理由から移民してきた人々が作った人工国家である。そこでは、人々が契約によって政府を作り、国防など自らの手のみでは果たせない責務を政府に任せたのである。
家族を守るのも先ずは自分の仕事であり、だから銃の保有、携帯が憲法で保証されている。教育も、学校よりも家庭や教会で行った。だから、ダーウィンの進化論を信じない人が今でもいるのである。
日本やヨーロッパは、社会保障の充実など、平等を目指す社会主義的な国になっているが、アメリカの自由な民主主義の特質もまた理解する必要がある。
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■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「税の在り方」をテーマにお届けしました。
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(文・舛添要一)