ウーバーイーツ「写真詐欺店」は法的にアウト? 弁護士は景品表示法違反の恐れを指摘
ウーバーイーツで写真と実物が異なる「写真詐欺」の店。こうした料理を出すお店は法的に問題ないのだろうか…。
自宅にいながら、様々な料理を食べられる「Uber Eats(ウーバーイーツ)」。その中には、メニュー写真と実物が違いすぎる「写真詐欺」の店舗もある。
そうした料理を提供する店は罪に問われないのだろうか。弁護士に取材してみると…。
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■「写真詐欺」店に遭遇して感じたこと
コロナ禍で、フードデリバリーサービス「ウーバーイーツ」は我々の生活で身近になった。アプリを開くと、和食・洋食・中華と様々なジャンルの料理が並ぶ。
メニュー写真は豪華で、見るだけで食べたくなるものも多い。ただ、いざ注文してみると、写真と実物が全く異なることも…。記者はこれまで「メニュー写真とかけ離れた韓国料理」や「入っているはずのねぎとろがない海鮮丼」など、「写真詐欺」の店舗を多数食してきた。
その際、「こういう料理を提供する店は法的に問題ないのか?」と疑問を抱いた。今回は、その疑問を解消したい。
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■「詐欺罪」にはならない?
メニュー写真と実物が違うことで、店側は罪に問われないのか。レイ法律事務所に所属する舟橋和宏弁護士に話を聞いた。
「写真詐欺」というワードからまず、「詐欺罪」に当たる可能性はないか尋ねた。
「刑法246条の詐欺罪が成立するには、欺く行為(詐欺行為)が必要となります。ただ、メニュー写真がある程度誇張され、実物と異なっているというケースは少なくありません。そのため、メニュー写真と実物が違うことをもって、料理を提供した店舗が欺く行為をしたと即座に判断できるかは微妙なところです。写真の違いひとつをもって、飲食店を詐欺罪に問うのは難しいと考えます」(舟橋弁護士)。
民法上の「詐欺」(民法96条1項)も同様で、店側に支払った代金の返還を求めるなどの請求をするのは難しいという。
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■景品表示法に抵触する?
ある程度、メニュー写真と実物が異なるのは致し方ない部分もあるのだろう。ただ、前出の舟橋弁護士によれば、あまりにも過剰である場合は景品表示法に抵触する可能性があるという。
「景品表示法は、ポスターやパンフレットといった広告(表示)について、一般消費者の判断を阻害するおそれのある行為を制限することで、一般消費者の利益を保護することを目的とした法律です。景品表示法では、不当な表示の禁止として『優良誤認表示』などといったものが規制されています」(前出・舟橋弁護士)。
聞き慣れない言葉だが、一体どんなものなのか。
「広告等で実際のものより著しく優良であると誤認させるものにあたると判断される場合、景品表示法に反する可能性があります。例えば、国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していたのに、実はブランド牛ではない国産牛肉だったというものが『誤認させるもの』として考えられます」(前出・舟橋弁護士)。
ウーバーイーツで「A5ランク国産○○牛使用のステーキ丼」と表示されているのに、一般的な国産牛だった場合、「優良誤認表示」に該当する可能性があるということだ。
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■措置命令が出たケースも
景品表示法違反の疑いが浮上した場合、店側はどうなるのか。こちらの疑問を前出の舟橋弁護士にぶつけたところ、「消費者庁等から調査を受けることがあります。調査の結果、同様の行為が起きないようにする防止策を講じるよう措置命令が出されることも考えられます」という回答が寄せられた。
また、こういった措置命令などは過去出されたこともあるようだ。
「近年、飲食チェーン店が優良誤認表示ではありませんでしたが、景品表示法違反で措置命令を受けたケースもあります。あまりにも実物と異なる広告表示をしている場合は、調査などが行われる可能性もあると考えられます」(前出・舟橋弁護士)。
GW(ゴールデンウイーク)中、ウーバーイーツを利用する人も多いだろう。実物と写真が大きく異なる店舗に遭遇しないよう、事前にネット上で評判を調べてから注文するのが賢明だ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)