『鷲』を何と読む? 紋章や国旗のデザインとしても知られている鳥とは…
「鷲」と「鷹」には明確な区別は存在しない? じつは慣習にしたがって呼びわけているだけだった。
大空を悠々と飛び、急降下で獲物を狙う姿がカッコいいアノ鳥。古くはローマ帝国の紋章に描かれたことも。
■「鷲」は何と読む?
Sirabee編集部が全国の10代~60代の男女1,000名を対象に「鷲」の読み方に関する調査を実施したところ、全体で90.6%の人が「わし」、9.4%の人が「たか」と読むと回答した。
「わし」と読む人は男性が89.4%で女性が91.9%。「たか」と読む人は、男性が10.6%、女性は9.4%という結果に。
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■正しくは「わし」
「鷲」の正しい読み方は、「わし」。タカ目タカ科に属する鳥のうち、オオワシ、オジロワシ、イヌワシ、ハクトウワシなど、比較的大きめのものを指す通称で、明確な区別はなく、慣習に従って呼び分けているだけだという。
ワシはその堂々とした姿から鳥の王者とされ、ローマ帝国やロシア帝国を始めさまざまな国の紋章や国旗にその姿が描かれてきた。日本でも、ワシの尾羽は最高のものとされており、陸奥国の名産として朝廷や伊勢神宮の遷宮の折などに献上したという記録が残っている。
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■「ワシ」なのにどうして「イヌ」なのか
ところで、イヌワシは漢字では「犬鷲」「狗鷲」などと書かれるが、なぜ「イヌ」なのだろうか。「イヌ」という言葉が名詞の頭に付くと、「卑しめ軽んじる」「無駄で役に立たない」「似ているが劣っている」という意味をあらわすのだそう。このことから、ほかのワシより下に見られていたため付いた名だという説がある。
古くから矢の尻尾部分の矢羽として使われていたワシの羽だが、イヌワシの羽はクマタカなどほかのワシの美しい羽と比べると全体的に黒く下級品として扱われていたという。そこから自然とイヌワシそのものの価値も低く見られるようになったのかもしれない。
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■「たか」の漢字は「鷹」
「たか」は「鷹」と書く。タカ目タカ科に属する鳥のうち比較的小さめのものを指す通称。縄文時代の遺跡からタカ類の骨が発掘されているそうで、当時の人々はタカを食べていたと考えられている。
タカは、その優れた狩猟の能力から狩りにも使われてきた。同じく人間の漁に使われてきた鵜とともに、少しも見逃さずものを探し求める様子を表す慣用句として「鵜の目鷹の目」という言葉があることからも、能力の高さがうかがえる。
その堂々とした姿からか、鷲(イーグル)と並んで、鷹(ホーク)も航空機や電車、車、スポーツチームの名前など、さまざまなものにその名が使われている。どのようなところで使われているのか探してみるのも面白いのではないだろうか。
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(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)