『蟋蟀』をなんと読む? 秋の風物詩とも言える美しい鳴き声も種によって違うようだ
食糧問題の解決策の1つとして昆虫食が提案され、「蟋蟀」も注目を集めている。
秋の夜、窓を開けると聞こえてくる虫たちの涼しげな音色。「蟋蟀」も美しい鳴き声を聞かせてくれる虫なのだが…。
■「蟋蟀」は何と読む?
Sirabee編集部が全国の10代~60代の男女1,000名を対象に「蟋蟀」の読み方に関する調査を実施したところ、全体で63.6%の人が「こおろぎ」、36.4%の人が「かまきり」と読むと回した。
「こおろぎ」と読む人は男性が62.3%で女性が64.8%。「かまきり」と読む人は、男性が37.7%、女性は35.2%という結果に。
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■正しくは「こおろぎ」
「蟋蟀」の正しい読み方は、「こおろぎ」。昆虫綱バッタ目キリギリス亜目コオロギ上科、コオロギ科、コオロギ亜科に属する昆虫の総称で、日本ではエンマコオロギ、ミツカドコオロギ、オカメコオロギ、ツヅレサセコオロギなどが代表的な種類として挙げられる。
中国南部や東南アジアでは古くから日常的に食用とされており、日本でも一部地域では食べられていたという。食糧問題の解決策の1つとして昆虫食が提案されていることで、改めて食用としてのコオロギにも注目が集まっている。
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■名前の由来には鳴き声が関係している
オス成虫の羽にはやすり状の発音器や共鳴室があり、羽をこすりあわせることで、鳴き声を出す。鳴くのは雄だけであり、鳴き声も種によって違うそう。雌を呼び寄せたり、威嚇や縄張りの主張をしたりというように、数種類の鳴き声を使い分けている。
その名の由来にも、鳴き声が関係しているという説がある。「蟋蟀」の中に使われている「悉」と「率」は、中国で「シツ」「シュツ」と読み、虫が羽を擦り合わせる音や鳴き声を表す形声文字として使われていたという。これに「虫」を組み合わせ、「蟋蟀」となったとも考えられているようだ。
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■「かまきり」の漢字は「蟷螂」
「かまきり」は漢字で「蟷螂」と書く。カマキリといえば、「ハリガネムシ」に寄生されるのを知っているだろうか。水生生物であるハリガネムシは、水生昆虫のカゲロウやユスリカの体内に取り込まれ、それらが捕食されることでカマキリに寄生する。
驚くべきは、カマキリの体内で成長したハリガネムシは、その脳を操って水辺へ導き、川や池などに飛び込ませて尻から水中へと脱出するというのだ。ほかの生物の繁栄のために操られるというのは、なんとも不思議な現象だ。最近、そのメカニズムを解明すると思われる遺伝子が発見されたと理化学研究所チームより発表され、話題になっているようだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)