日経平均株価がバブル期の最高値に迫る日本経済 「デフレ脱却」実感は2割以下

平成元年以来、日経平均株価が最高値を更新する可能性が期待されているが、「デフレ脱却」は実感されているのだろうか。

2024/02/21 05:45

デフレ脱却


日経平均株価が最高値をつけたのは、1989年12月29日。平成元年のことだ。当時の株価、3万8915円87銭がいよいよ30年ぶりに高値更新されるのではないか、と注目を集めている。


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■円安による物価高も

アメリカや中国、ASEAN諸国、さらにはグローバルサウスなどと呼ばれる新興国の経済が着実に成長する一方で、低い生産性とデフレに苦しみ続けてきた日本社会。まさに失われた30年は、株価にも如実にあらわれている。

株価だけでなく、身の回りで物価の上昇も続いている。国際紛争やコロナ禍なども影響した世界的なインフレ傾向や円安を主な原因とする物価高なので、景気が回復している実感は少ないが、給与についても徐々に上向きになりつつあるようだ。

日本経済は長いデフレのトンネルを脱却したのか。世間はどのように感じているのだろうか。


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■「デフレ脱却」は2割以下

Sirabee編集部が、2月16〜18日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「日本経済のデフレ脱却」について調査したところ、「完全にデフレ脱却したと思う」と答えた人はわずか2.6%。「やや脱却した」が16.6%だった。

身の回りのあらゆるものが値上げとなり、指標的にもインフレ傾向が明らかであるにも関わらず、デフレ脱却と感じている人は2割以下。

株価や不動産価格が上昇しても、投資をしていない人は恩恵を受けづらく、賃金の上昇が物価高に追いついていないことがこうした感覚の背景にあるかもしれない。

デフレ脱却

最も多かった答えは「あまり脱却していない」で41.4%。「全く脱却していない」も39.4%存在する。


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■女性はとくに厳しい

共働き家庭が増えてきたとはいえ、いまだにスーパーやショッピングセンターでは女性客が多く、家計を預かる女性も多い。日々の買い物や家計簿を管理する中で、男性とは実感の違いもあるのだろうか。

デフレ脱却

今回の調査結果では、男性では「完全に脱却+やや脱却」の合計がおよそ4人に1人にのぼったものの、女性で「完全に脱却した」と答えた人はわずか0.5%だった。


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■「不況下でのインフレ」リスクも

失われた30年の間、報道などで聞かされ続けた「デフレ」という言葉が、骨の髄まで染み込んでしまったような深層心理もうかがえる今回のデータ。

今後、幅広い業種で賃金が物価高を超えるスピードで上昇し、先進国のなかでも極めて低い生産性を向上させることができるのか、が日本の大きな分かれ道になりそうだ。

最悪の場合、デフレよりもたちが悪い「不況下でのインフレ」=スタグフレーションに陥るリスクも少なくないだろう。


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■執筆者プロフィール

タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター

1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。

著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)

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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年2月16日~2月18日
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)

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