“飛んで火にいる夏”の驚きのメカニズムとは? 「知っている」と答えた人は2割ほど
「月の光と間違えた」、「紫外線に引き寄せられている」などいくつもの仮説が存在するが、その真相とは…。
光に群がっているように見える虫だが、そこには抗えない本能が隠されているのをご存知だろうか。
■虫が光に群がる理由を知っている?
Sirabee編集部が全国の10代〜60代の男女700名を対象に「虫が光に群がる理由を知っているか」調査したところ、「知っている」と回答した人は全体で22.3%。
なお男女別に見ると、男性は25.3%、女性は18.7%という結果になっている。
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■イギリスの研究者が真相を解明
「飛んで火に入る夏の虫」などという言葉があるように、炎や虫取り用の照明に突っ込んで行く姿を目撃したことがある人は多いだろう。では、何故そのような行動をとってしまうのか。
これまでにも“月の光と間違えている“、“光源に含まれる紫外線に集まってくる”など、いくつもの仮説は存在したが、どれも仮説の域を出ることはなかった。
しかし2024年1月、ついに英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)がその真相とされる研究結果を科学雑誌『Nature Communications』(ネイチャー・コミュニケーションズ)に発表したのだ。
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■原因は「背光反射」
有力な仮説がありつつ決定的な原因が解明できなかったのは、実際の虫の飛行データによる検証がなされなかったからだと考えた研究グループは、人工照明を用いて様々な角度で虫に光を当て、光に対する飛行姿勢を検証した。
その結果、「背光反射」と呼ばれる虫の本能がその原因であることが初めて科学的に証明されたのだ。背光反射は虫や魚によくみられる姿勢制御機能で、重力を適切に感知できない小さな生き物が、月や太陽の明るさによって天地を判断しているというもの。
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■下から光を当てると背を向けて墜落
実験映像には、下から照射する電球付近に飛来した虫が、電球の上に来た途端に光の方向である下方に背中を向けことで失速し、墜落していく様子が捉えられていた。また、横から光を当てると電球の周りをグルグルと周ったり、電球の下を通過するとそのまま光源に沿って急上昇したりする様子も見られた。
こうした墜落や急上昇の動きが、人の目には光源に突っ込んでいるように見えたのではないか、というのが同研究の結果のようだ。ちなみに、虫は遠くからでも光に群がるように思われているが、実際はたまたま近くを通った虫が背光反射により光の届く範囲を周回しているだけだという。
自ら火に向かって飛び込んでいるかのように見えた虫たちだが、天地を判断するための本能が仇となってしまったというのがなんとも切ない。人工の光があふれる現代で、また違ったかたちの進化を遂げる虫も出てくるのだろうか。
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(文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女700名 (有効回答数)