なぜか「伝説」になりやすい? 「赤色」が生んだ言葉の悲劇【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
昔、「いや、君、プロだから…」と高校の演劇部への入部を断られたことがある黒田勇樹です。こんにちは。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
■アントニオ猪木の「赤マフラー」はなぜ禁止?
先日、アントニオ猪木議員がトレードマークである「闘魂マフラー」をして国会に出席してはいけないのはなぜだ?という騒動があったのはご存知でしょうか?
「女性大臣の赤いストールは許されているのに!」という問いに対しての回答は、「参議院規則に『襟巻ダメ』って書いてあるから。ストールは襟巻じゃなくて肩掛けだから」。この語源しらべぇ的に言えば、「言葉の輸入」の行き違い問題なのですが…、実は色々な言葉の語源に、この「赤」が影響していることが判明したのでご報告いたします。
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■「赤」は伝説を生みやすい?
ホトトギスという鳥。漢字で「不如帰」と書くことを、ご存知でしょうか?
中国語で「もう帰ることはない」という意味なのですが、何故こんな名前になったのかというと、中国の伝説で、なんか偉い人が鳥に生まれ変わって、戦争を嘆き「もう二度と戻らないぃぃぃ!!!!」と血を吐きながら鳴いた、という伝説が基になっているそうです。
ホトトギスはクチの中が真っ赤なので、それを見た人が、こんな伝説を考えたのではないかと推測します。
続いて、ギリシャ神話より。同性愛の神様のいざこざに巻き込まれて死んだヒュアキントスという美少年。彼の血の海から咲いた一輪の花が、その名前をとってヒヤシンス。(ひでー話だな…)
これもまた、真っ赤に咲き誇る花を見た人が考えた物語。もしくは物語が先にあり、あの花を見つけた人が名前をつけたのかもしれません。
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赤という色は、どうしてこうもさまざまな悲劇を含む言葉を生みだすきっかけになるのでしょうか? 赤はヘモグロビンを含む人間や動物の血の色。そのせいか、人間を興奮させると言われています。
猪木議員のマフラーも、いつの日か伝説になり、「理不尽な退出を求められる」という状況を指す「アントニオ」という言葉が生まれる日も…来るかもしれません。
その場合、筆者は「演劇部をアントニオされた」ということになりますね…
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)