淡麗辛口だけじゃない 進化する「新潟の日本酒」が今面白すぎる
吟醸酒の試飲イベントで『八海山』『鶴齢』『大洋盛』『麒麟』の蔵元を取材。
「日本酒女子」といった言葉も聞かれるほど、ふたたびブームの兆しが見える日本酒。中でも、「日本酒だったら吟醸か大吟醸が好き」という人も少なくないだろう。
14日、東京・有楽町では日本吟醸酒協会による『2017年吟醸新酒会』という試飲イベントが開催され、多くの来場客を集めた。
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■全国から47蔵が参加
参加蔵元は、北は岩手県から南は大分県まで、全国26県から47蔵。新潟、山形・福島からは、最多の4蔵が出展した。
中でも酒どころ・米どころとして知られる新潟県は、かつての「淡麗辛口」で知られたが、それにとどまらず多様な進化を遂げているようだ。
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①美味しさと相反する量も両立『八海山』
南魚沼市の地酒、『八海山』。東京の飲食店や酒屋でもよく見かける、新潟を代表する日本酒のひとつだが、
「『味とつくる量は相反する』と言われることがありますが、味を落とさずに量産化することに価値があると思っています。最近だと、『獺祭』さんも成功していますね」
とのこと。
八海山がめざすのは淡麗辛口だが、その心は「らしさを主張しすぎない食中酒」。
和食には、香りなどひとつの味に飛び抜けた料理より、バランスがよいものが多いので、「料理の五味よりひとまわり小さい五角形」をイメージした酒づくりだ。
同じ市内にできた体感型の宿泊施設『里山十帖』などの影響もあり、以前の「新潟淡麗ブーム」とは違う世代や女性のファンも増えているという。
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②新潟の米と杜氏にこだわる『大洋盛』
鮭で有名な村上市にある大洋酒造の前身は、創業1635年。蔵のこだわりは、すべての酒を県産米で、越後杜氏が醸すという地元に根ざした酒づくり。
『大洋盛』は、新潟で開発された『越淡麗』という酒米100%でつくった大吟醸としては初めて県内1位に輝いた。
同社の村山社長は、
「『新潟=淡麗辛口』といったイメージだけでなく、蔵ごとの個性を出していきたい。村上でとれた地元の食材と地酒を合わせて召し上がってほしい」
と語る。
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③山の料理と合ううま味のある酒『鶴齢』
八海山と同じく南魚沼市にある『鶴齢』は、創業300年。うま味があり、力強い味わいが特徴だ。阿部取締役は、「『新潟っぽくない』と、よく言われます」と笑う。
「新潟県は、東西に300km。九州の南北と同じくらいあります。上中下越と佐渡にわかれ、山も海もあって、食文化も多様です。
うちの蔵がある魚沼は山間僻地で、保存食も多い。魚沼の料理には、しっかりした酒が合うんです。『新潟らしい』より『魚沼らしい』お酒をつくっていきたい」
と語った。
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④異なる2つの方向性で挑戦『麒麟』
福島県にもほど近い阿賀町で酒を醸す、下越酒造。『麒麟』という淡麗辛口の銘酒をつくってきたが、とあるきっかけで新しいチャレンジを始めた。
同社の佐藤社長が英国で行われた食品博覧会に出品したとき、外国人の反応が気になったからだという。
「飲んでみて『味がなくて美味しくない』という人がいたんですね。美味しいと言ってくれる人たちにもよく聞いたら、日本酒を飲んだことがある人で『たくさん飲める』という意味だった。
もっと『ひと口目から美味しい』と思える酒をつくろうと立ち上げたのが、『蒲原』です」
新ブランドでめざしたのは、「甘口・辛口の間にある『おいしいというジャンル』」。大吟醸用の酵母を使いながら、アルコール度や味わいを濃いめにし、特定の問屋さんや飲食店だけに販売している。
阿賀町に残る「狐の嫁入り伝説」にちなんで、海外向けには『Bride of fox』と名付けたところ、好評だそうだ。
進化を続ける新潟の日本酒から、目が離せない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)