「ひふみん」こと加藤一二三九段が63年の現役生活に幕! ファンから労いの声
引退が決定している加藤一二三九段が最後の戦いに出陣!その結果は…
20日、将棋棋士で「ひふみん」の愛称で親しまれる加藤一二三九段(77)が、竜王戦6組昇級者決定戦対高野智史四段戦に臨み、敗北。63年にも及ぶ現役生活に、ピリオドを打った。
■「負ければ引退」の一戦
加藤九段は前期に行われた順位戦(棋士の序列を決定するリーグ戦)で1勝9敗となり、フリークラスへ降級。年齢制限のため現役棋士として将棋を指すことができないため、対局の権利がある棋戦の消滅を待ち、引退することになっていた。
今回の竜王戦は残された最後の棋戦で、「負ければ即引退」の一戦。バラエティ番組で見せる愛くるしい笑顔はまったくなく、険しい表情で対局に臨む。
相手の高野智史四段は、1993年生まれの23歳で2015年10月に棋士になった新鋭だ。祖父と孫ほど歳の離れた両者が、己の意地とプライドをかけて激突。
対局の模様は「ニコニコ生放送」「AbemaTV」「将棋プレミアム」でそれぞれ生中継され、ニコ生だけで10万人以上が視聴。高い注目を集めた。
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■得意戦法で若手に挑むも…
大一番で加藤九段が採用したのは、長きに渡り愛用し、タイトル獲得の原動力ともなった「矢倉」。「将棋の純文学」とも称される王様をガッチリ囲う戦法で、若手に堂々と立ち向かっていく。
注目の昼食は、大好物の「うな重」をチョイス。さらに「おやつ」として6Pチーズを超速で食べ、栄養を補給する。体力・気合とも十分で臨んだが、高野四段が冷静な攻めを見せ、優勢を築く。
加藤九段も気力を振り絞り懸命の粘りを見せるが、鋭い攻めに持ちこたえることができない。最後は相手の高野四段が緊張した表情で一手を放ち、加藤九段が投了。63年の棋士人生が幕を閉じた。
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■ファンからは労いの声が
悔しさをにじませた加藤九段は、対局後の感想戦や取材を一切拒否し、足早に対局場を去る。その顔は最後まで「勝負師」そのものだった。
そんな同九段の功績や、最後まで勝負にこだわる姿勢に、ファンからは労いや称賛の声があがっている。
加藤一二三先生,本当にお疲れ様でした.
稀代の天才棋士である彼の事は勿論彼の有名棋譜と共に再び強く胸に刻もうと思います.— トマト好き (@Tomato1027) June 20, 2017
タクシー呼んでたか。戻って来て指し、高野四段の手を見て即投了、帰宅。77歳の63年の歴史とはとても重い。常人の推し測れるものではない。。 #加藤一二三
— すぎむら (@sugitk) June 20, 2017
やっぱり、この負けず嫌いがこれだけ長い間現役を続けてこられた原動力なんだろうな。
— ユーベ🦅🌸◢⁴⁶ (@JUVE0824love) June 20, 2017
藤井聡太四段の活躍で、ブームが巻き起こりつつある将棋界。現役を引退してパワーアップした「ひふみん」が、また違った形で将棋を盛り上げてくれることに期待したい。
(文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治)