設定時刻にPCを強制終了! 寝屋川市の「残業抑制システム」に賛否両論
大阪寝屋川市が「残業抑制システム」を導入へ。既に一般企業では導入事例も
大阪府寝屋川市が、就業時間を過ぎるとパソコンを強制的にシャットダウンさせる「残業抑制システム」を導入することが判明。
その効果や是非について、賛否両論が出ている。
■PCを強制シャットダウン
寝屋川市では、午前9時から17時30分までが基本的な就業時間。残業の申請がない場合、18時までにパソコンが強制シャットダウンされるという。
残業を希望する場合は、上司から承認を受けたうえで、作業時間を設定。該当する時刻になると業務終了を促すアラートが表示され、10分後にパソコンの電源が切れることに。
同市では7月から経営企画部と総務部に所属する50人を対象に試験運用し、効果などを検証。その後、本格的に導入するか否かを決定する方針だ。
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■既に一部企業で導入済
このようなシステムは既に一部の企業が取り入れており、残業時間を削減するなど一定の効果をあげているそう。空いた時間を趣味や家族との時間に回すことで、仕事への活力が生まれ、作業効率や意欲アップも期待できる。
とくに残業代の出ない会社で勤務している人にとっては、実質的なサービス残業から開放されるだけに「喉から手がでるほどほしいシステム」との声も。
一方で、支給される会社に勤務している人からは、「稼げなくなる」と不安視する意見も出ている。また、残った仕事を家に持ち帰る必要が生まれることも予想され、タダ働きになるのでは…との危惧もあるようだ。
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■残業代と定時退社どちらを取る?
残業代の出る環境で勤務している人の間で、意見が分かれている「抑制システム」。働く人たちは定時退社よりも手当を重視しているのだろうか?
そこでしらべぇ編集部では全国20代〜60代の有職者534名に意識調査を実施したところ
結果、僅差ながら、残業代を優先する人が多いことが判明したのだ。この調査を見る限り、システムの導入で残業が減り、手当を受け取れなくなることに不満を感じる人が一定数存在することは間違いない。
一方で、手当が出たとしても、やはり定時退社を望んでいる人も多い。どちらを取るかは、「究極の選択」だろうか。
「残業は当たり前」ではなく、必要最低限に留めるという意識を社員や世間に広めていくという意味では、この残業抑制システムは一定の効果をあげる可能性が高い。
また、システムの存在が広がることにより、残業代のつかない人々が「正当な報酬を受け取る権利を与えられるべきだ」「残業代がつかないのはおかしい」という声をあげやすい社会になることも期待したいところだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2017年1月20日~2017年1月22日
対象:全国20代~60代の有職者534名(有効回答数)